民主法律時報

9条世界会議関西2013大成功  戦争のない世界の盛り上がり

弁護士 徳 井 義 幸

1 はじめに
  2008年にも開催された9条世界会議が、第2次安倍改憲内閣による執念ともいうべき改憲志向の動きの加速のもとで、去る10月13日には9条国際会議(於関西大学)、14日には9条世界会議(於大阪市中央体育館)という形で、のべ5500人の参加をもって成功のうちに閉幕しました。大阪では、この9条世界会議を成功させようと「法律家の会」が結成され、プレ企画(元芦屋市長北村春江講演)を実施するなどして活動してきましたが、13 、14日の模様を簡単に報告して、カンパを始め9条世界会議の成功のためにご協力頂いた皆さんへのお礼としたいと思います。
  なお、紙数の関係等もあり省略せざるを得ない部分が多々あることをご了解下さい。

2 9条国際会議、大盛況
  まず13日に予定されていた9条国際会議の前日の12日夜には、この国際会議に参加するために来日された海外ゲストの皆さんの歓迎レセプションが、シティプラザ新大阪で開催された。写真は、歓迎レセプションで津軽三味線の演奏に聴き入る海外ゲストである。
 さて本題の9条国際会議は、13日に午前中に全体会が、午後からは三つの分科会が開催された。全体会では、関西大学の高作正博教授が「憲法9条をめぐる情勢と課題」と題して、この間の日本の改憲を巡る情勢報告がなされ、その後海外代表がそれぞれ発言された。印象深かったのは、元米国陸軍大佐でブッシュ政権によるイラク戦争を国連憲章違反と批判して辞職し、その後反戦・平和活動に従事しているアン・ライトさんの、「自衛権の発動から侵略戦争遂行への転落はあっという間の出来事である」という強い警告であった。日本の改憲を巡る情勢に対する鋭い警鐘である。
 この国際会議全体会には、予想を超えて約500名もの参加があり第二会場を設定せざるを得ないほどの大盛況であった。
  また、昼からの分科会には三つの分科会に海外ゲストが  数名も参加され、それぞれパネラーを勤めて頂き、9条の値打ちを各分科会とも国際的に再確認できたようである。 

3 9条世界会議関西2013――5000人規模の大聴衆で盛り上がり
 14日は大阪市立体育館でのメイン集会が午後から開催されたが、午前中は三つのワークショップが持たれた。①「戦争のない世界へ」②「アジアの中の9条」③「若者が伝える9条」の三つである。私は、「法律家の会」で運営した①「戦争のない世界」に参加したが、午前中から沢山の人が参加して、いずれのワークショップも盛況だったようである。
 ①「戦争のない世界」では、米国憲法にも9条を入れるべきと運動しているという映画監督であるディビッド・ロスハウザー氏の映画「被爆者として生きる」が上映され、監督自身からも9条についての思いを語る発言があったほか、原爆症認定訴訟の被爆者原告からの被爆体験が語られ、また弁護団から被爆者に対する国の不当な救済拒否に対する批判もなされた。「戦争のない世界」への思いは、戦争がもたらす悲惨な現実の直視無しにはありえず、参加者の皆さんも改めて被爆体験の語りを通じて「許すまじ原爆、許すまじ戦争」の強い思いを共有できたのではないかと思う。
  さて、最後は午後からのメイン集会である。第1部は「世界に広がる9条」と題して海外ゲストよりの報告がなされた。前述の米国のアン・ライト氏、韓国のイ・キョンジュ氏、チュニジアのベルハッセン・エヌーリ氏、フランスのローラン・ベイユ氏の4氏が報告をされ、いずれも9条の精神の世界への広がりを実感できるものであった。特に印象深く思ったのは、フランスのローラン・ベイユ氏の平和への闘志ぶりであった。同氏は現在  歳でナチに対するレジスタンス運動の体験もあるという方であるが、国際平和のための国連憲章の意味を語るその気迫に圧倒される思いであった。
  その後、第2部は「若者が伝える9条」で、若者の中に9条を伝える困難と同時に未来をも感じさせるものであった。さらに第3部は「私たちが生かす9条」で沖縄の戦いと福島での戦いが報告された。
  そして報告を聞きっぱなしで若干疲れ気味となったとき、上條恒彦さんのライブとなった。私の世代にとっては聞き逃せない歌声であり、その力強い声量が会場を大きく盛り上げて、メイン集会もお開きとなった。

4 おわりに
  最後の写真は、  日夜の大正区の沖縄料理店で実施された海外代表を含めた打ち上げ風景である。海外ゲストもこの9条世界会議で大きな平和へのエネルギーを得て、意気盛んに各国に帰国してくれたであろう様子がよくわかるのではないか。

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