弁護士 菅 野 園 子
2013年10月8日に「全国一斉ブラック企業被害対策ホットライン」が開催されました。
大阪では民法協と大阪労働者弁護団の共催で実施し、合計 件の相談がありました。全国では 都道府県で合計330件の相談がありました。
私は、午後1時~3時の相談にはいりましたが、概ね2回線が常に埋まっている状態でした。NHKの方も取材にきておりました。試用期間経過後の解雇、パワハラ、給与未払い、退職強要など、2時間の間に8件から9件はかかってきていました。
その日のホットライン30件の相談用紙を見直すと、相談件数のうち半分以上が、「初めて相談した」方で、相談をこれまでにしたことのある人の相談窓口の多くが労働基準監督署でした。告知も8割以上が新聞、テレビ、ラジオでした。新聞マスコミの効果が大きいと思いますが、「誰かに相談したい」という気持ちを抱えているが、しかしどうしたらいいかわからないという人の声を拾えたのではないかと思います。
相談傾向としては、残業代11件、いじめ6件、労働時間6件、解雇6件でやはり残業代の問題がかなりの部分を占めており、解雇とパワハラ、解雇と退職勧奨などパワハラがともなう事件も多かったです。また相談者としては正社員19人、非正規が11人でした。私が聞いた相談者は、相談の最後に「これってブラック企業ですよね。」という同意を求めてきました。相談者は、自分や家族がブラック企業であるのではないかと考えていながら、相談をして、専門家からブラック企業であることの確認を得たいという気持ちをもっているようでした。私からすれば、日頃聞いているホットラインの内容と変わらない(日頃我々が聞いている労働相談のかなりがブラック企業)ですが、「ブラック企業」という言葉が生まれたことで、周囲にその会社の労働条件の酷さをより伝えやすくする効果があると思いました。そういう意味では「ブラック企業」という言葉を考えた方、その問題に対応する弁護団を作ったということは、大変重要な意義があるのではないかと感じました。