民主法律時報

日本労働弁護団第65回総会(Zoom)

弁護士 西 田 陽 子

1 総会の開催日時

2021年11月12日(金)と翌13日(土)の2日間、日本労働弁護団の第 回総会がZoomにて開催されました。下記では、主に基調講演と当会に関連する事項に焦点を当てる形で、総会の内容をご報告いたします。

2 総会1日目①:基調講演

井上幸夫会長の挨拶の後、早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子先生の「労働法の現在―ジェンダー、ケア、ハラスメント」と題する基調講演がありました。コロナ危機はとくに女性に大きな打撃を与えていることを紹介し、平時の日本のジェンダー不平等(日本の正社員〔総合職〕は「ケアレスマン〔=育児・介護をしない労働者〕モデル」である)に言及し、コロナ禍によりジェンダー不平等社会の歪みが顕在化しているとしました。そして、子どもの世話や家族の介護といったケア労働は重要であり、誰もが互いにケアしあい、尊重し合う社会を目指すべきだと提言しました。

3 総会1日目②:労働問題の議論・報告その1

基調講演後の労働問題の議論・報告においては、コロナ関連の問題に加え、裁量労働制の問題や、無期転換の問題が取り上げられました。

このうち、裁量労働制の問題については、当会会員の塩見卓也弁護士から、「裁量労働制の提案はなぜ失敗したのか」と題し、裁量労働制は長時間労働を助長し、濫用されやすいので、現在適用対象とされている業務でもふさわしくない旨の解説がありました。

4 総会2日目①:労働問題の議論・報告その2

総会2日目には、水野英樹幹事長による幹事長報告の後、労働問題の議論・報告の続きがなされました。

労働者性のテーマにおいては、当会事務局次長の清水亮宏弁護士より、ヤマハの英語講師ユニオンが雇用化を勝ち取った事案の報告がなされました。非常に大きな成果ですが、課題もあり、雇用化のメリットが実感されにくい問題や、声を上げにくい構造があるとのことでした。ちなみに、ヤマハでは音楽講師ユニオンも結成されたそうです。今後の更なる活動に期待します。

労働者性のテーマでは、当会副会長であり労弁の副会長でもある豊川義明弁護士からも問題提起があり、活発な議論がなされました。

また、解雇の金銭解決の議論の後、その他の事件報告として、当会会員の村田浩治弁護士より、東リの大阪高裁勝訴判決の報告がありました。原告側の主張が概ね採用されたという判決の内容が画期的で素晴らしかったです。

5 総会2日目②:日本労働弁護団賞授与

続いて、井上幸夫会長より、日本労働弁護団賞の授与がなされました。

まず、当会会員も多数参加している建設アスベスト全国弁護団会議が受賞しました。受賞スピーチは森孝博弁護士でした。筆者は、森弁護士のスピーチでの「決して諦めない執念」という言葉や、これから2万人の被害者が発生する見込みであることなどを聞いて、弁護団の今後の闘いへの強い意欲を感じました。

続いて、長崎の中川拓弁護士(元大阪弁護士会)の、労働審判で、当事者が拒否したにもかかわらず、裁判所が口外禁止条項つきの審判をしたことに対し、国家賠償請求を行い、棄却されたものの、当該審判が違法である旨の判決を勝ち取った事件が受賞しました。原告と中川弁護士のスピーチが感動的でした。

6 終わりに

本総会においては、活発な議論や全国各地の精力的な活動に触れることができ、筆者にとっても大変有意義なものでした。
次回の総会は2022年11月11日(金)・12日(土)、東北での開催が予定されています。奮ってご参加ください。

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