弁護士 原 野 早知子
2014年10月3日、中之島公会堂で、大阪憲法会議・共同センター結成10周年に際し、標記集会が開催された。参加者は約400名であった。
メインは渡辺治一橋大学名誉教授。集団的自衛権閣議決定をめぐる講演だった。
消費税増税・法人税減税を実現した安倍政権に対し、財界・保守支配層の期待がある。安倍政権は、米国の要請と財界の支持をバックに集団的自衛権の閣議決定を強行した。
一方、歴史の修正に固執する安倍首相の姿勢は、米国にとって痛し痒しである。安倍首相は明確に「日本の軍事大国としての復活」を意図しており、戦後のこれまでの政権になかった特色である。
また、7月1日閣議決定は、集団的自衛権を容認した点でこれまでと異質の局面に踏み込んだものであるが、一方、「限定行使」の縛りがかかったことは、安倍首相にとっては屈辱であり、「戦争をする国」に反対する運動の力である。
では、運動は今後いかに立ち向かうか。地域・良心的保守層・市民運動・女性・中高年が頑張り、新たな可能性があるという。原発問題をきっかけに若者が運動に参加するようになったことも紹介された。
集会では、講演の前に、高校生から、「集団的自衛権について初めて考え、反対意見との議論の難しさを感じている。でも自分の意見を言っていきたい」と率直な発言があった。「戦争をする国」の影響をまともに被る若い世代に、こうした議論をどのように広げるかが課題ではないか。改めて考えさせられた。
(渡辺教授の分析はいつもながらの鋭いものであったが、時間不足は否めなかった。より詳細な安倍政権の分析として、渡辺教授ら共著「大国への執念 安倍政権と日本の危機」(大月書店)が出版され、秋の夜長にぜひ読んでほしいとのことである。)