民主法律時報

労働法破壊とのたたかい~第2幕が始まりました~

事務局長 中 西   基

1 はじめに

 臨時国会が始まりました。会期は9月29日から11月30日までの約2ヶ月の予定です。この臨時国会では、安倍政権が突き進めようとしている労働法破壊のうち、①労働者派遣法の大改悪、②5年無期転換を骨抜きにする有期特別措置法案が審議される予定です。また、③残業代ゼロ制度を含む労働時間法制について、来年通常国会への法案提出を目指して労政審で審議が急ピッチで進められています。
 この秋から来年春までを、安倍政権の労働破壊とのたたかいの第2幕(秋の陣)と位置づけて、各界各層、縦に横に、旺盛な取り組みが求められています。

2 ①労働者派遣法

 ①労働者派遣法については、本年3月に通常国会に上程されましたが、条文に誤記があるなどしたため、一度も審議入りすることなく、廃案になりました。「これでは正社員がゼロになってしまう!」といった批判や反対の運動が高まったことも大きく影響しています。
 ところが、安倍政権は、9月29日に、誤記を修正した以外はまったく同じ法案を、再度、閣議決定しました。臨時国会では、厚生労働委員会で審議される法案が少ないことから、労働者派遣法改正法案は、10月中旬にも審議入りする見通しです。衆院は自・公だけで議席の3分の2以上(480議席のうち326議席)を占めていますので、数の力で押し切られる可能性があります。
 もっとも、前の田村厚労大臣が人材派遣業界とズブズブだったことと比べると、新たに厚労大臣になった塩崎恭久氏はそれほどでもなく、むしろ、先の衆院選挙(愛媛1区)で民主党の候補と接戦だったこともあって、地元選挙区での世論を非常に気にしているとも聞きます。反対の世論が大きくなればなるほど、強行採決はやりにくくなるものと思われます。

3 ②有期特措法

 2012年4月から施行されている改正労働契約法18条では、雇用の安定を図るために、有期契約が更新されて5年以上経過した場合には無期契約に転換できるといういわゆる出口規制が導入されました。同様の出口規制を設けている韓国は2年超で無期転換ですので、5年という期間は雇用の安定という観点からは長すぎると批判されてきましたが、安倍政権は、あろうことか5年を10年に先延ばしにして、民主党政権下で制定された改正労働契約法を骨抜きにしようとしています。有期特措法は、本年3月に閣議決定、通常国会に上程されており、すでに衆議院を通過してしまっています。臨時国会では、参議院において審議される予定です。

4 ③労働時間法制

 第1次安倍政権で法案要綱が作成される段階まで進められていたホワイトカラー・エグゼンプション(ホワエグ)ですが、「残業代ゼロ法」、「過労死促進法」といった批判の世論が高まったことから、当時の安倍首相も「国民の理解が得られていない」として国会上程を断念せざるをえませんでした。
 ところが、第2次安倍政権は、本年6月に閣議決定された「成長戦略」において、「新たな労働時間制度」という名前で、再び、ホワエグを実現しようと画策しています。すでに、労働政策審議会において急ピッチで検討が進められており、政権側は、来年の通常国会に法案を提出するスケジュールです。
 民法協では、10月7日に、在阪法律家8団体共催で、「STOP!!『残業代ゼロ』集会」を開催しましたが、引き続き、労政審での審議状況を睨みながら、取り組みを進めていきます。

5 秋からの取り組みが重要です!

 安倍政権は、日経平均株価を高値で維持することで支持率を維持してきました。しかし、消費税増税や円安による生活破壊は日増しに厳しくなり、アベノミクスが幻想にすぎなかったことも次第に明らかになりつつあります。
 政権側は、幻想を維持するため、すなわち、株価を高値で操縦するために、短期的な企業収益を増やす労働規制の破壊に一縷の望みを託そうとするでしょう。
 しかし、労働規制が破壊されてしまうと、労働者の命と健康、自らと家族の生活と生存が犠牲にされるのみならず、中・長期的にみれば、日本社会全体を弱体化させることになるでしょう。むしろ、きちんとした労働規制を整備することで労働者の生活を安定させることこそが求められています。すでに、アメリカでは、最低賃金を大幅に引き上げたり、アメリカにおけるホワイトカラー・エグゼンプションの対象労働者をより限定する方向が打ち出されたりしています。
 アベノミクスの正体を暴き、労働規制破壊の危険を徹底して世論に訴えることで、安倍政権の息の根を止めることが秋から来春にかけての私たちの課題です。

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