民主法律時報

2014年新人学習会 第3回「非正規労働のリアル」

弁護士 馬 越 俊 佑

1 はじめに
2014年4月22日に第3回新人学習会が開催されたので、報告いたします。
テーマは、派遣法改悪の動きが強まる中、問題となっている「非正規労働」についてでした。学習会では、岩佐賢次弁護士、村田浩治弁護士から、非正規労働について解説して頂き、実際に非正規雇用労働を経験された当事者の方からお話を聞くことができました。
2 非正規労働の解説
 非正規労働の特徴は、①雇用が不安定になる、②低賃金、③雇用主の責任が果たされにくいという特徴があります。派遣労働は、派遣元会社、派遣先会社、労働者との三者契約になり、派遣元会社と派遣先会社は「派遣契約」という契約を締結します。しかし、「派遣契約」は労働契約ではなく、一種の商行為に過ぎませんから、契約の解除などに特段の規制はありません。これが①労働者の雇用を不安定にする原因となっています。また、派遣先会社が派遣元会社に支払った契約金から派遣元会社によるいわゆるピンハネが行われて、労働者に賃金が支払われます。そのため、②賃金は低いものとならざるを得ません。さらに、労働契約は派遣元会社と労働者との間で締結されていますが、実際に労働者が、労働力を提供しているのは、派遣先会社に対してですから、派遣元会社が安全配慮義務といった③雇用主の責任を果たしにくいものとなっています。
そのため、以前は、専門業務に限って派遣労働が認められていました。しかし、規制緩和が進み原則と例外が逆転して、現在では原則派遣労働が認められる結果となっています。
3 当事者の声
当事者の方からは「偶然、勉強会に参加し、弁護士や組合の方から教えてもらわなければ、労働者として当然主張できる権利を知らないままでした。弁護士や組合の方から教えてもらい、雇用条件の不利益変更を断ることができたり、有給休暇をとることができたりしましたが、非正規雇用だから認められないと思っている人もいると思います。正規の労働者と全く同じ労働をし、新人の正規労働者には、仕事も教えていたくらいであったのに、給料は全く違いました。」など、非正規労働の過酷さをお話して頂きました。
4 現状を踏まえて
現在、派遣法が改悪されて派遣労働が実質的に無期限で許されることになり、非正規労働がさらに拡大するおそれがあります。過酷な労働を強いられる非正規労働が無制限となるような、派遣法改悪には断固として反対しなければなりません。

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP