民主法律時報

民法協 第58回定期総会のご報告

前事務局長 増 田  尚

 8月24日、いきいきエイジングセンターにて、民法協第58回定期総会が開催され、76名の参加者がありました。
 冒頭、大江副会長のあいさつがあり、直近に明らかにされた秘密保全法案が「知る権利」を抑圧する構造は残されたものの、国民を直接に規制するものでなくなり、国民の運動によって大きく変わりうる情勢にあることが示されました。
 また、来賓の水口洋介・日本労働弁護団幹事長よりごあいさつをいただきました。水口幹事長は、第2次安倍政権の下で進められる労働規制緩和の動きに対し、中小企業・女性・非正規労働者を救済するかのようなごまかしを丁寧に暴き、再び導入を阻止することを訴えられました。また、「国家戦略特区」では、東京・大阪・愛知で労働時間規制を緩和して、「世界で一番ビジネスのしやすい環境の実現が企まれており、東京と大阪で力を合わせて反撃することを呼びかけられました。

 続く講演では、萬井隆令会長から、「労働規制緩和の策動と民法協の課題―派遣法改正論議の行方―」と題し、一連の労働規制緩和の問題点について、とりわけ直前に公表された「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の報告書を徹底的に批判し、これに反対する視点を提示いただきました。
 萬井会長は、規制緩和策のうち①限定正社員、②金銭的解決制度、③ホワイトカラー・エグゼンプションの3つをとりあげ、①については、「正社員=職種も勤務地も労働時間も無限定」との議論の前提から疑うべきであること、②については、労働者の側に解雇の効力を争わずもっぱら損害賠償によって解決を図る選択肢は用意されており、労働者の「救済」という導入の根拠はまやかしであって、違法な解雇をしておきながら復職を不当に妨げている企業を免罪し、企業の側に「解決」の道具を与えるものでしかないこと、③については、「サービス残業」や長時間労働によるメンタル不全・過労死などの違法な状態を合法化するものでしかないこと、とそれぞれコメントされました。

 また、派遣法改悪の動きに対して、直接雇用の原則が理論と運動の基軸に据えられるべきであり、財界にとっては「ノドに刺さった骨」のように桎梏となっていると指摘されました。財界側の手法は、違法な労働者供給事業を蔓延させ、法律で規制する体裁をとらせて合法化を推し進めていくというものであり、これに対し、行政や司法も、違法な偽装請負について、派遣法の問題ととらえ、罰則をともなう職安法を適用しようとせず、このような態度が、派遣先が派遣の適法性に頓着せず、違法な派遣をのさばらせてきたと批判しました。他方で、直接雇用申込義務や、「みなし」制度など、直接雇用の原則に基づき、間接雇用である派遣を例外化する改正も並行して進められてきたことも見る必要があると述べられました。次に、「在り方研」の報告書が、財界側の要望を多く取り入れ、政令指定業務と自由化業務の区別を廃止したり、派遣期間の上限を業務単位から個人単位に変更すると提案するなど、派遣労働の一時性・臨時性という考え方を根底から覆すものであり、「キャリアアップ」など派遣労働者への「配慮」も、派遣労働者の置かれている実態や、派遣先と派遣元の力関係などを見ない空疎なものにすぎず、派遣先への団体交渉応諾義務や製造業派遣原則禁止の見送りなど、論点を回避する姿勢に終始するものであると厳しく批判しました。

 その上で、こうした規制緩和に対しては、実際の現場で起きている違法を許さず、労働者の権利を実現する課題に取り組む中でこそ、阻止に向けた国民との共闘が可能になると呼びかけられました。

 次いで、事務局長より、1年間の総括と新たな活動方針の報告がありました(議案書は、「民主法律」292号に掲載されています。)。労働規制緩和と改憲の動きをどうとらえ、闘うのかについて行動を具体化する討論を呼びかけました。
 討議では、労働規制緩和に関わって、派遣法改悪阻止の運動や、派遣先との団交応諾義務に対する中労委の不当な判断を跳ね返す闘争、労働時間規制緩和を阻止する運動と過労死防止基本法制定、若年労働者の就活やメンタルヘルスなどの問題とASU―NETの活動などについて発言がありました。また、改憲の動きに関しては、各法律事務所でのとりくみや「明日の自由を守る若手弁護士の会」の活動の報告、「平和への権利」実現の運動と9条世界会議関西成功の呼びかけ、集団的自衛権の行使・秘密保全法・武器輸出などを可能にする国家安全保障基本法阻止のたたかい、「教育再生」のもとで進む「自虐史観批判」と「自己責任」の押しつけや、教科書採択をめぐる政治介入の動きへの対抗運動などの発言がなされました。また、裁判闘争について、オレンジコープ、ダイキン控訴審、泉南アスベスト第2陣控訴審結審について、それぞれ支援の訴えがありました。
 その後、決算報告と予算の提案、会計監査報告に続き、活動方針案と予算案が採択されました。また、新役員の提案も承認されました。

 最後に、城塚幹事長より、橋下維新と第2次安倍政権による新自由主義・新保守主義との闘いが山場を迎える中、中西基・新事務局長のもと、民法協に課せられた役割を果たす活動に結集することを訴えられました。
 総会で採択された活動方針案に即して、様々な分野で、労働者や市民の権利を擁護する活動にとりくまれることを会員各位にあらためて呼びかけたいと存じます。

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