民主法律時報

第3回労働相談懇談会報告

弁護士 河 田 智 樹

 2013年8月1日、国労大阪会館地下会議室において労働相談懇談会を開催した。参院選直後のため他のイベントも盛り沢山であったにもかかわらず、約25の方にご参加いただき、盛況であった。 
 はじめに、毎回恒例の「最近の労働裁判例」について、河田が報告を行った。
 ヘルパーの頸肩腕腰痛症を公務災害と初めて判断した大阪地裁判決など、画期的な判決が出ており、実務への影響は大きい。

 次に、西川大史弁護士を講師に「残業代の計算」について、ご講演いただいた。
 労働時間や休日の基本的ルールについて講義があった後、具体例を用いて実際に計算過程を大変分かりやすく説明していただいた。応用問題として、一日8時間超、週40時間超で休日労働に当たる重複部分の計算方法についても表を用いて検討した。
 なお、大阪地裁(5民)が残業代の計算方法に関するレジュメを配布しているとのこと(判例タイムズ1381号36頁)。
 一方、労働賃金の消滅時効が2年と短いため、残業代の計算を完璧にしようと時間をかけている間に時効が完成してしまうという悲劇にならないよう、訴状は早めに出すことを心がけること、また、内容証明郵便が相手方に到達後、6か月以内に提訴しなければ時効が中断しないこと等、労働者が誤解しがちな点の助言もあった。

 続いて、谷真介弁護士から定額(固定)残業代と割増賃金請求について、ご報告をいただいた。定額残業代は、ブラック企業で横行しておりタイムリーな問題である。
 基本給組み込み型、定額手当型について、高知県観光事件、テックジャパン等の最高裁判決やアクティリンク事件等の地裁判決にも言及して非常に分かりやすくご説明いただいた。

 今回も活発な議論ができ、非常に有意義な懇談会であった。

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