民主法律時報

第2回 労働相談懇談会「年次有給休暇について」

おおさか労働相談センター相談員 舛田 佳代子

 第2回労働相談懇談会を2020年3月27日(金)国労会館において開催し、6単産・7地域・弁護士・その他から35名の参加がありました。今回の学習テーマは、堺総合法律事務所の井上耕史弁護士による「年次有給休暇について」と、南大阪法律事務所の西川大史弁護士による「コロナ関連の労働相談について」でした。

新型コロナウイルスの感染拡大によって寄せられる様々な相談に対応するため、急きょ西川大史弁護士を講師に「コロナ関連の労働相談について」の学習を行いました。休業を命じられたときには休業手当を請求できること。休業の理由についても、感染したと疑われる正当な理由がなく感染拡大予防のためという場合は、使用者の自主的判断による休業命令になるので休業手当を請求できること。新型コロナの影響で経営が悪化したことを理由にした解雇や雇い止めについては、企業が倒産・解散した場合を除き整理解雇の4要件を満たさなければならないこと。

また、内定取り消しについても、採用内定によって労働契約が成立するため、内定を取り消すためには整理解雇の4要件を満たす必要があること。内定取り消しで注意すべき事は、会社が自主的な内定辞退を求めてくる場合で、辞退を認めるような書類には決して署名しないことなど、厚労省が発表する資料をもとに具体的な学習内容でした。

「年次有給休暇の基礎知識」についての学習では、年休制度の主旨と年休の権利、その原則から学習しました。

年休は、1日単位(0~24時)が原則で、労働者が日を指定する(時季指定権行使)ことで、就労義務がなくなることが基本。時季指定は労働者の意思表示で成立し、使用者の承諾はいりません。使用者は、労働者が年休を取ることを前提に体制を組まないといけないため、代替要員がいないからといって年休を拒むことはできないこと、使用される順番は繰り越された年休からと考えること、自然災害で交通機関が止まり臨時休業した日について、一律有給休暇届けを出すよう指示することについては、自然災害で会社が倒壊するなどの状況でない限り休業手当の支給の要件になるので、一律に有休届の提出を求めることは許されないことなどを学びました。

会場からは具体的な闘いの中で問題になった事例が質問されました。参加者から、交通機関の遅延で欠勤・有休の選択を指示する会社への対策、解雇の時の残った有休の扱いの対応ど、実際の課題解決や考え方がわかったと感想が寄せられました。

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