民主法律時報

自民党の改憲草案、こんなのは「憲法」じゃない!――明日の自由を守る若手弁護士の会設立総会

弁護士 宮 本 亜 紀

1 明日の自由を守る若手弁護士の会とは?

2013年3月30日(土)、東京の中央大学駿河台校舎で、「明日の自由を守る若手弁護士の会」の設立総会があり、北は北海道、南は大阪までの若手弁護士約50名が集まりました。関西からは、民法協会員の若手弁護士6人が参加しました。

「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、自由民主党が昨年4月に公表した憲法改正草案に反対し、昨年12月衆議院選挙で政権を取った自民党らに、その改憲をさせてはならない、危険な内容を広く市民に知らせようと、選挙直後から準備を始め、今年1月に全国の若手(51期以後、弁護士経験15年以内)に呼び掛けて設立しました。

自民党改憲案は、私たち若手弁護士にとって強烈なショックを与えました。憲法9条を変えるだけでなく、憲法の意味を180度変えるものだったからです。若手弁護士は、経済成長を遂げた平和な民主主義国家に生まれ育ち、日本国憲法を学びました。憲法で、戦争を放棄し、人権が保障され、そのために国会・内閣・裁判所・地方自治の統治機構が定められたこと、国務大臣・国会議員・天皇・官僚らは、国民から統治を信託されて憲法を遵守して国を運営すべきことを、ある意味当然に思っていました。しかし、自民党改憲案は、「すべて人間は生まれながら自由・平等で、幸福を追求する権利を有する」という考えを否定して、国が私達の権利を容易に制限し、国防軍による戦争を可能にして、「国家権力を縛る憲法」から「国家が人を縛る憲法」へと変貌させていたのです。

「憲法」と言うと、法律はよくわからない、何か窮屈なものというイメージで、国民によく知られていないと思います。中学・高校でさらりと触れられて終わりですから、仕方ないと思います。でも、国民がよくわからないうちに、国家権力が自らの鎖を外して国民の幸せを奪うようなことがないように、「憲法」の意味をわかりやすく広めて行くのが法律家の役割だと、若手弁護士らは集まりました。特に未来を担う若手だからこそ、これまで護憲活動をされてきた先輩方に学び、さらに発展させて、アクティブにあらゆる行動を取ろうと決意したのです。

2 3.30設立総会の模様

設立総会では、一橋大学の阪口正二郎教授に講演いただき、「個人が自らの自由を確保するために一定の合意(社会契約)をして国家を形成した、これが人類の歴史に裏付けられた近代立憲主義である」との、法学部・法科大学院の講義を思い起こす内容から始まりました。私は、中学3年の公民の授業で日本国憲法を読んで、なんて崇高な理想を掲げた格好良いものだろうと思い法学部に入学しましたが、大学で学んで初めて、単なる格好良い理想を戴いているだけではなく、個人が主体的に国家を形成し、権力担当者を監視し、不断の努力で護るものだと理解した時の新鮮な気持ちを思い出しました。

阪口先生は、「自民党改憲案は、国家と国民との関係を根本的に変えようとしている」として、自ら最も重要だと考える13条「個人の尊重」をキーワードに、立憲主義を掘り下げて語って下さいました。そして、現行憲法下においても、残念ながら日本は個人よりも共同体を優先させる国であり、周りに同調せよという雰囲気の息苦しい社会である。こういう社会において「もっと個人であることを大事にしなさい」と言ってくれる13条は非常に大事との言葉はわかりやすく、広げていきたいと思いました。

96条改正については、民主主義・立憲主義を可能にするために改正手続が厳格にされた理論など、他にも日本国憲法の深い意義と、自民党改憲草案の違いについて話が尽きず、単発講義では物足りなく感じました。

記念講演に続いて、①4つ折りカラーミニパンフ完成、②紙芝居(パワーポイント)完成、③インターネット戦略、④学者との連携の活動報告がなされました。
①ミニパンフは可愛くわかりやすく、初版はあっという間に売り切れ、現在増刷しており、もうすぐ民法協の皆さまのお手元にお届けするので、当会へのカンパの意味をこめて1枚  円で大量購入いただき(割引あり)、諸団体の憲法活動に使っていただけたらありがたいです。
②紙芝居は、右のような絵柄で、憲法の意味をわかりやすく説明できて好評です。関西メンバーは、ストリート(街頭)紙芝居を企画中です。
③インターネット戦略では、FB(フェイスブック)の「いいね!」や、ツイッターのフォローを広げて行くことも重要事項に決定ました。民法協会員の皆さま、是非ともよろしくお願いします。
④学者は、憲法学者からメッセージをもらっていますが、民法協の労働法の先生方も、是非ともお願いします。

総会後の懇親会は、メンバーの個性が溢れ、楽しくメンバーを増やし、活動を広げていく構想が膨らみました。
総会には新聞取材も入り、雑誌の執筆依頼も来て、4月17日東京での記者会見も注目を集めています。50期以前で残念ながら会員になれない弁護士の先輩方、労組の方々、学者の先生方、今後もアイディアいっぱいの活動を展開していきますので、是非とも応援をよろしくお願いします!

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