民主法律時報

大阪市労組組合事務所団交拒否事件 大阪地裁勝利判決の報告

弁護士 冨 田 真 平

 大阪市による、大阪市労組の組合事務所の供与についての団交申し入れに対する団交拒否について、大阪府労働委員会が行った救済命令の取消を大阪市が求めた訴訟で、2021年7月 日、大阪地方裁判所は、大阪市側の請求を棄却する、組合側勝利の判決を出した。

 大阪市労組が組合事務所の退去を求められた事件については、労働委員会での闘いでは、地労委命令(2012年2月 日)・中労委命令(2015年 月 日)において、大阪市の不当労働行為が断罪されたが、裁判での闘いにおいては不当な高裁判決・最高裁決定(2017年2月1日)が出され、大阪市労組は、2017年3月、断腸の思いでこれまで守り抜いてきた本庁舎の組合事務所を明け渡した。
他方で、大阪市労組は、裁判・労働委員会での闘争と並行して、大阪市に対し、2012年度使用不許可処分時以降、毎年のように、組合事務所の使用その他を交渉議題とする団交申入れを行ってきた。しかし、大阪市は、管理運営事項(地公法 条3項)や労使関係条例を口実として、一貫しての団体交渉に応じない態度をとり続けた。
大阪市労組は、事務所明け渡し後の2017年3月に、①組合事務所の供与についての真摯な協議、②組合事務所を供与しない具体的理由の説明、組合の不利益の回避、代替措置の存否・条件や検討状況、退去を巡る条件について具体的な説明、協議、③大阪市が所有・管理する全ての物権についての使用状況の具体的な説明、供与可能なスペースの有無についての協議などを団交事項とした団交申入れを行った。しかし、これに対しても、大阪市は2か月以上放置した上で、結論として団体交渉を開催しなかった。

 大阪市労組は、2017年9月に大阪市の団交拒否に対し、団交応諾命令とポストノーティスを求め、府労委に救済の申立を行い、2019年1月、府労委は団交拒否を労組法7条2号、3号違反と認め団交応諾、誓約文の手交を命じる救済命令を交付した。しかし、大阪市は、この命令を受け入れず、中労委ではなく、大阪地裁に取消訴訟を提起した。

 本判決は、まずいわゆる混合組合(地公法適用職員と労組法適用職員の双方によって構成される組合)の問題について、従前の裁判例と同様に、「地公法上の職員団体と労組法上の労働組合の複合的な性格を有しており、労組法適用職員に関する事項に関しては労組法上の労働組合に該当する」と判断した。
次に、義務的団交事項について、地方公営企業等の労働関係に関する法律(以下「地公労法」という)は同第7条及び第 条2項に列挙されている事項(主として労働条件に関する事項)に義務的団交事項を限定する趣旨ではないとして、「地公労法が適用される労組法適用職員についても労働条件等の団体交渉が円滑に行われるための基盤となる労使関係の運営に関する事項は義務的団交事項となり得ると解することが相当である」と判断し、義務的団交事項にあたらないという大阪市の主張を退けた。
また、組合の申入事項のうち、組合事務所の不供与による不利益の回避や代替措置の存否、条件の検討状況などについては管理運営事項に該当しないと判断した上で、①管理運営事項に該当するかどうかの確認を理由に何年も組合事務所について団体交渉ができない状態が続いていたことや、②組合事務所の使用不許可処分に関する手続的な決着がついた状況の下であったこと、③大阪市も管理運営事項に当たらない事項があることを認識していたこと等の事情から、大阪市が団体交渉となし得る可能性のある事項を具体的に挙げて確認するなどの方法により団体交渉可能な事項を具体的に確認すべき立場にあったとして、このような確認をせずに団体交渉を拒否してきた大阪市の態度を正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとした。
さらに、2012年の橋下(維新)市長登場以後、一貫して組合に対して不誠実な対応を続けてきた大阪市の対応等も踏まえて、上記団交拒否が支配介入にあたると判断した。

 本判決は、大阪府労委命令と同様、管理運営事項や労使関係条例を盾に一切団体交渉にさえも応じない不当な大阪市の態度をしっかりと断罪するものである。大阪市が控訴したため、闘いの場は大阪高裁に移った。今後も労働組合が自由な活動を展開できる正常な労使関係を取り戻すため、一丸となって闘っていく所存であるので、ご支援をお願いする次第である。

(弁護団員は、豊川義明弁護士、城塚健之弁護士、谷真介弁護士、及び冨田の4名。)

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