民主法律時報

組合事務所の使用許可問題で大阪府労働委員会が橋下市長の「不当労働行為」を断罪

大阪市役所労働組合 中 山 直 和

 2月20日、大阪府労働委員会は橋下市長が「本庁舎の組合事務所の退去を求め」「本庁舎に係る行政財産使用許可申請について不許可」としたことは「労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認め」、「今後このような行為を繰り返さないようにいたします」との文書を大阪市役所労働組合に対して速やかに手交するよう命令を下しました。
この間、橋下・維新の会とのたたかいにご支援いただいた弁護団をはじめ多くのみなさんにお礼を申し上げるとともに今後のたたかいの地歩を築けたことをご報告します。

大阪市役所における組合事務所の 使用許可に関する経過について
 2011年11月に実施された大阪市長選挙で当選した橋下氏は市職員への「統制」を一気に強めました。投票日の翌朝マスコミの取材に「民意」について自分の意見を述べた職員を探し出し「反省文」を書かせたり、前市長の側近幹部を更迭するなど、市職員に大きな衝撃を与えました。12月末になり市議会で維新の会の議員が大阪交通労組の組合活動を取り上げたことを契機に、橋下市長は「庁舎内での政治活動をいっさい認めない」「組合事務所の庁舎内からの退去を求める」と発言し労働組合への攻撃を開始しました。
 これらマスコミによる報道が先行する中、大阪市当局は私たちの質問に何ら答えることなく2012年1月30日に一方的に「退去通告」を行い、2012年度の使用許可申請に対して「不許可」としました。また、団体交渉の申し入れに対しても拒否し続けてきました。その背景に橋下市長による労働組合潰しの意図が存在することは明確であり、不当労働行為そのものでした。

組合事務所使用の正当性と 大阪市役所労働組合のとりくみ
 私たち大阪市役所労働組合(市労組)は1990年7月に結成し、発足当時から市民本位の市政を実現するため、大規模開発の無駄づかいや労使癒着を徹底して批判してきました。また、本庁舎内に組合事務所の設置を一貫して求めてきましたが、2006年になり大阪市当局はいわゆる「大阪市問題」を契機とした労使癒着解消の象徴として私たちの組合事務所を市役所地下1階に移転することを認め、同年8月に移転しました。
 そして、現在も市民や労働組合の支援を受け市役所内に組合事務所を構えてとりくみを続けています。

大阪府労働委員会が橋下市長による「不当労働行為」を認定し、謝罪文の手交を命令
 大阪府労働委員会は、組合事務所の退去を迫ることを「不当労働行為」と認定し、謝罪文の手交を命令しましたが、その判断を行った理由として以下の説明を行っています。
○庁舎内での政治活動と組合事務所の存在は、直接的に結びつかない(36頁~37頁 )
「実際に組合事務所を拠点に活発な政治活動が行われ、庁舎を訪れる住民にも一見してそれとわかり、庁舎の公共性を疑うような事態が常態化していたという場合ならば別であるが、通常は、直接的に結びつく関係にあるとはいい難いところ、庁舎内で政治活動が行われるおそれを払拭することと市本庁舎地下1階に組合事務所が置かれていることの関連性について、市が十分に検討を加え、その上で、退去通告及び本件不許可処分の決定に至ったと認めるに足る疎明はない。」
○(橋下市長の指示による)急激な方針転換について説明や協議をしなかった(37頁)
「市は、平成23年12月24日の段階では、庁舎内での組合事務所の使用につき、使用料の減免はしないとするものの、使用そのものについては認めることを前提としていたと推認でき、同月26日の段階で、使用を認めないとし、その後は、その方針に沿って、庁舎内からの組合事務所を退去させようとしたと解されるところ、急激に方針を転換したとの感は禁じ得ず、この方針転換により、市が直接、市労組に対し、庁舎内の政治活動に係るこういった問題を挙げて、今後は組合事務所の使用を認めないとの方針を伝え、組合事務所問題について説明や協議を求めようとしたこともない。」
○事務スペースの不足という数値自体が疑問(38頁 )
「市が作成した事務スペースの不足についての資料は、どの時点の面積を現面積として算定するのかすら一貫していない上、 (中略) 論理的で秩序だった検討を経て作成されたとはいい難く、約860㎡の事務スペースの不足という数値自体、疑問を持たざるを得ない。」
○退去通告・不許可の理由に合理性なく、協議なく・団交に応じず、拙速(38頁 ~39頁 )
「市が挙げる退去通告及び本件不許可処分の理由について、合理性があると認めるに足る疎明はなく、また、市は、その理由について自らの見解を明らかにして、具体的な説明や協議を行っていない。 (中略) 市は、使用を許可しないことにより市労組が被る不利益について、代替措置を含む協議も一切なく、また、団交にも応じず、拙速に市労組に対し、退去通告及び本件不許可処分を行い、もって市労組が相当の期間にわたり、組合活動の拠点として使用してきた組合事務所について従来どおり使用できない状況を生ぜしめたと判断される。」
○不当労働行為の判断に労使関係条例の施行は左右されない(39頁 )
「市は、便宜供与を行わない旨定めた労使関係条例の施行によって、市労組が請求する救済内容については、市のなし得ない不適法な内容を求めたものに当たり、市労組は申立ての利益を喪失したものであって、労働委員会規則の却下事由に該当する旨主張するが、労使関係条例の施行は前記(注:不当労働行為の認定)の判断を左右するものではない。」

市民本位の市政実現に今後とも 全力を挙げます
 今、橋下市長は「大阪都構想」の議論に行き詰まり、大義も道理もない市長辞任・再選挙を行っています。これまで橋下市長が実行してきた「市政改革プラン」は公約を平気で破った市民サービスの切り捨てであり、職員と労働組合への激しい攻撃は市民との連帯を阻み、露払いとして強行されてきたものです。
 私たちは橋下市長に対して大阪府労働委員会の命令に従い、不当労働行為への反省と労働組合、市民、職員への謝罪を強く求めています。また、住民の生活と権利を守るために、維新政治ストップをめざす活動に全力で奮闘する決意を表明いたします。

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