民主法律時報

SNS活用法講座⑦ 多くの市民に 意見を届けるために

弁護士 清水 亮宏

1 新しい情報流通パターン
SNSが登場する前の基本的な情報流通パターンは、メディアが取材内容を報道し、受け手が問題を深化させていくというものでした。その後、SNSの登場により、市民が手軽に情報発信をできるようになりました。
これにより、SNS発の情報が大手メディアに取り上げられ、多くの市民への情報発信につながるケースが目立つようになっています。

2 セブンイレブン病欠罰金問題を例に
2017年にあった実際の事例を元に説明しましょう。セブンイレブンでアルバイトをする娘を持つ母親が、風邪でバイトを休んだ娘が交代人員を見つけられず給料を減らされてしまった(ペナルティとして約1万円の罰金をした)ことをツイッターで投稿しました。すると、この投稿がSNS上でどんどん拡散(リツイート)されていきました。拡散の背景には、ブラックバイト問題が大きな関心を集めていたことや、給与明細の写真があり、内容が分かりやすかったことも影響していたと思います。その後、まとめサイトやネットメディアがこの問題を取り上げるようになりました。そして、まとめサイト等の記事が公開されると、これらの記事を引用する形で更に情報が拡散されていきました。ここでは、労働問題に詳しい弁護士や労働組合などが、法的な観点から考察やコメントを行い、更に情報が拡散されていったことも見逃せません。最終的には、テレビや新聞などの大手メディアが取り上げるようになりました。「セブンイレブン 風邪 罰金」などで検索すると、どのように情報が広がっていったのかをうかがい知ることができます。
このように、SNSユーザーの投稿→SNSで拡散→まとめブログやネットメディアなどが記事化→記事がSNSで拡散→有識者がブログ等で問題を考察・コメント(情報・コンテンツの価値が高まる)→大手メディアが取り上げる という情報流通の形が生まれています。

3 多くの市民に情報発信するために
注目すべきは、弁護士・労働組合・学者がSNS上でコメントをすることで、情報拡散を促すことができる(情報・コンテンツの価値を高められる)点、SNS発の情報がメディアの目に留まり、報道されることがあるという点でしょう。新聞やテレビなどの大手メディアの記者は、SNSから情報を取り入れることが多いと聞きますし、多くのフォロワーを有する専門家の情報発信はチェックされるようになっています。新聞やテレビのみから情報を受け取る層もいますので、大手メディアに取り上げてもらうための取組みも重要です。
会員の皆様にも、労働団体の一員として、SNSを通じた情報拡散に一役買っていただければ幸いです。

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