民主法律時報

Q:校長の公募制・任期制とは?

Q:この条例案が実施されたら、校長はどのように任用(選考)されるのですか。そのことの問題点は何でしょうか。

A:条例案14条2項は、「年齢、職歴、教員としての在職期間等を問わず、マネジメント能力(組織を通じて運営方針を有効に実施させる能力)の高さを基準として、教員を含む意欲ある多様な人材を積極的に登用しなければならない。」と定めています。これによれば、マネジメント能力が最優先され、校長の任用についても、現在の教師・教頭経験者の中から校長登用試験によって選考するという現行制度を変更し、公募により任期付きの校長(いわゆる民間人校長)が基本となる蓋然性が高いといえます。
 しかし、校長に必要なのは、マネジメント能力のみといえるでしょうか。学校で生じる様々な問題に対して、子どもの目線に立って教育現場をより良くするためには、長年にわたる経験や教育者としての資質が当然に必要となるはずです。任期制で教育経験も有さない校長が突然現れ、現場を指揮することについては、保護者からも不安の声があがっています。教育基本法第1条には「教育は、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに、健康な国民の育成を期して行わなければならない」とあります。学校運営の担い手である校長を、マネジメント能力の高さのみを基準として任用することには、大きな違和感を覚えます。

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