弁護士 福 山 孔市良
7 シカ雪山(4449メートル)
今日5月3日はシャングリラでのハイキングの最終日である。
3200メート以上の町で寝起きしていると、それだけで身体が疲れてすぐ眠くなってしまう。食欲はそれほど減少しないが、何となく疲労感が抜けきれない気分である。天気は上々。朝からシカ雪山の山頂まで行き、4、5時間のハイキング予定である。
シカ雪山はシャングリラの北約7キロの所にある藍月山谷風景区の中に地位する。
シカ雪山の山頂に行くには、ロープウェイを2基乗り継いで行く。第1ロープウェイは3200メートルの地点から600メートル上がる。3800メートルの地点で、ここは広々とした山に囲まれた草原が広がっている。雪は全くない。このロープウェイを降りると休憩所と土産物店があり、ここで無料のお茶が配られて、ゆっくり飲んで高度に慣れる。
第2ロープウェイは長さ2000メートル、高度差600メートルを約4500メートルの地点まで登る。
さすがにロープウェイもゆっくりと運転されており、途中で時々休止して、無理のないように高度に順応させながら登って行く。
ここに来る前にシャングリラの町で80元(約1200円)の携帯の酸素ボンベをみんな買っていたので、車内で酸素を補給する。
山頂駅で降りるとそこは雪と風の別世界であり、マイナス5℃以上の寒さで風が強い。足下はカチンカチンに凍っている。
昨日まではシャングリラは雨で、高山では雪が大量に降って積もったらしい。この季節、本来はこの山頂付近も緑の広がる草原で、ここから第1ロープウェイの駅まで、途中湖をぐるりと廻って、4、5時間かけて下るのがハイキングコースになっている。
真正面にかすかに梅里雪山が見える。肉眼では見えるのだが写真は難しい。
頂上から周囲を見ると目の前にシカ雪山(4449メートル)がどっしりと見えるが、ハイキングコースは雪の中である。
20人中、15人は第1ロープウェイまで下りて牧場をゆっくりハイキングすることになった。佐賀の5人、大阪の2人がガイドと一緒に雪の中を下るということで出発した。
一体どうなることか心配ではあるが、私にとっては全く未知の世界であり、地元のガイドに任せるしか仕方がない。
15人は再びロープウェイで3800メートルまで下って牧場を歩くことにする。ヤクがのんびりと草を食べている。山頂とは全く違った気象状況で風もなく暖かい。
牧場には一面に黄色の花が咲いている。
現地では名前も分からなかったが、帰国して「世界の山草野草」を調べてみた。名前はオクシグラフィス・グラキアリス。キンポウゲ科オクシグラフィス属で、分布はチベット雲南省北西部四川省西部。3000メートルから4500メートルの日当たりのよい石礫地や草つきのやせた砂地などに群生するそうで、フクジュソウのように花が咲いてから葉が伸び、地表に張り付くように咲く。
ここまでは別に珍しくもないが、黄色の花が時間が経つにつれて緑色に変化すること、その緑色が鮮やかな色なのでびっくりするというのが特徴である。
誰かがフクジュソウと違うか、と云っていたが。花は違うがよく似たところがあるようだ。
緑の花もところどころ咲いていたので、今から思えば黄色が緑に変化して咲いていたのだと思う。
早めの昼弁当を牧場の一角にかたまって食べる。
遠くに野生の鹿が4、5頭見ることができた。
山のところどころにシャクナゲのピンクの花が咲いているのが見えるが、全山ピンクというわけにはいかない。
牧場のハイキングといっても、3800メートルの高さがあるので富士山頂をハイキングしているのと同じで、そろそろとしか歩くことができない。シーサンパンナのガイドの女性が5人組を心配して携帯電話を何回も掛けていたが通じない。3時前にようやく雪で前進できないので、元に戻ってロープウェイで下りるという連絡があったので一同ほっとする。
ハイキングというより、3、4時間の散策といった感じであったが、3800メートルではそうどんどん歩けない。これで充分満足だというのが15人の気持ちであった。
8 ナパ海
シカ雪山の帰り、ナパ海に立ち寄った。
ここは三方を山に囲まれた草原であるが、今は乾期のため草一本も生えていない。馬に客を乗せて ~ 分ぐるっと廻ってくるのがこの時期の観光で、蒲田さんが馬に乗っている姿を写した。
6月からの雨期になると湿原になり、牧草に覆われるのでシャングリラ最大の牧草地らしいが、この時期は少し早すぎた感じである。
夕食はチベット族の鍋料理で、ヤクの各部の肉のしゃぶしゃぶである。生でも食べられると云っていたが、やはり熱湯をとおさないでは心配で、生で食べた人はいなかった。しかし薄いヤクの肉はいい味で、全員の人気があった。野菜は白菜、エンドウの苗、春雨、昆布、ジャガイモなどで、あとはラーメンが出た。
ヤクの肉のしゃぶしゃぶは初めての経験で、思い出に残ることだと思った。
翌日は早朝、シャングリラ空港から昆明経由で上海に行き、上海を観光して夕食に海鮮料理を食べた。
以上