民主法律時報

派遣労働問題研究会新人歓迎企画―― KBS京都訪問の報告

弁護士 坂東 大士

2017年5月24日、派遣研新人歓迎企画として、KBS京都を訪問させて頂きました。
KBS京都の訪問では、まず、ラジオ・テレビ番組を制作、放送している館内を見学させて頂きました。その後、京都放送労働組合の取り組みについて報告を聞かせて頂きました。

1 KBS京都館内見学

館内見学では、はじめに、ラジオ放送のスタジオなどを見学させて頂きました。
KBS京都は、京都、彦根、福知山から発信する3つのラジオ放送の周波数を保有しておられるので、地域ごとに別々の番組を放送することも可能なようです。
ラジオ放送に関しては、放送される番組の80%以上が自社制作の番組です。
ラジオ放送の番組は、ディレクター、アシスタントの2人とタレントで制作されることが多いようですが、ディレクターは正社員か外注先の従業員のどちらかで、アシスタントはアルバイトのようです。番組制作に関わる正社員が少ないことは意外でした。

 テレビ放送のスタジオでは、「newsフェイス」のスタジオを見学させていただきました。
番組制作には、美術、カメラマンなどの技術スタッフ10名が関わっておられるようですが、その内5名が正社員で、他の5名は外注先の従業員かアルバイトのようです。
テレビ放送の番組は、自社制作の番組は25%~30%で、その他は、野球中継、ドラマなどの番組を購入し、放送しています。
スタジオのサブ(調整室)も見学させて頂きました。スタジオのサブ(調整室)では、番組制作用機器を操作し、音声、映像等を調整しますが、ディレクター1名が社員で、あとは非正社員のようです。

KBS京都は、開かれた放送局を目指し、館内には誰でも入ることができます。また、KBS京都は、主要放送局のネットワークに入っていないので、自社制作の番組の割合が他の地方局よりも高いとのことです。

2 京都放送労働組合の活動報告

KBS京都館内見学の後、館内の会議室で、京都放送労働組合の取り組み、特に、非正規労働者の組織化、直用化協定の経緯、労働組合の方針などについて、報告を聞かせていただきました。
労働組合に加入し、KBS京都と団体交渉の結果、直接雇用となった労働者の方から話しを聞かせて頂きました。

(1) 松野さん
松野さんは、1994年からKBS京都で働いていました。労働組合に加入した当時は、スタジオのサブ(調整室)で、テロップ制作を担当していました。KBS京都の社員から業務指示を受けていましたが、業務請負契約になっていました。労働組合に加入後、会社との団体交渉の結果、KBS京都とは雇用契約に変更されることになりました。
40代になって体力も落ち、業務請負では将来に不安があったので、正社員になれたことは嬉しかったとのことです。

(2) 蔵内さん
蔵内さんはKBS京都の滋賀放送局で働いていました。放送局内、イベントでの音響機器の操作を担当していました。KBS京都とは業務請負契約で、契約期間は1年でしたが、長年、継続されていました。滋賀放送局で働いていたこともあって、京都放送労働組合との接点が長い間なかったようです。滋賀放送局の閉鎖が問題になったときに、労働組合との接点ができ、加入されたようです。労働組合が交渉し、現在は、正社員となっています。
契約期間1年と不安定でしたので、正社員になって、家族も喜んでいるとのことです。

(3) 労働組合の取り組みについて
京都放送労働組合は、正社員だけではなく、非正規社員、派遣社員、外注先会社で雇用されている社員、業務請負契約など、KBS京都で働く人なら加入することができます。
労働組合の組織率は70%を超えています。KBS京都との団体交渉で、直接雇用、正社員化を要求し、実績も残しています。
直用化の方針としては、派遣社員であれば契約期間がきれた段階で、アルバイトに切り替えることを要求し、その後、毎年賃上げの交渉を続け、最終的には正社員とすることを要求していく方針をとっておられます。

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