民主法律時報

「9条世界会議関西2013を成功させる法律家の会」の報告

弁護士 中 森 俊 久

  1.  2008年、幕張メッセにおいて9条世界会議が開催されてから5年が経過した。昨年4月に発表された自民党の改憲草案や、同年12月の安倍内閣の誕生、最近の憲法論議の中で、憲法を守り活かす運動の全国的な広がりが今ほど求められている時期はないといえる。
     そうした状況のもと、10月14日に9条世界会議が再び開催される。しかも、「9条世界会議関西2013」と称して、大阪市中央体育館にて1万2000人規模の集会を行うというのである。法律家として、また、人間として、この9条世界会議関西2013に協力しない手はない。
  2. 7月1日、大阪弁護士会にて、9条世界会議関西2013を成功させる弁護士の会(準備会)が開催された。10名強の弁護士が参加する中、神戸大学のロニー・アレキサンダー教授からお話を頂戴し、その後懇親も含めて議論を行った。
     反戦・反核の平和運動に関わる中、足元から見つめる平和の大切さに思い至ったロニー教授は、平和活動団体「ポーポキ・ピース・プロジェクト」を主宰し、ポーポキという名の猫を主人公とした絵本を作り、広める運動をしている。平和を脅かすものは、遠く離れた国での戦争や武力紛争だけではなく、いじめや差別など、私たちの身近なところにもあり、私たちはみなそれらに何らかのかかわりを持っている。自分のことや社会とのかかわり方を考え、その気づきをきっかけに、平和の創造のために自分にできることを見つけて、行動に移すことが絵本の狙いであるという。
     「平和って、なに色?」「平和にとって、重要なものは?」、猫のポーポキに尋ねられて、参加者がそれぞれの回答をしていく中で、自然と「非暴力、平和、多様性、創造性」などのキーワードと結びついていく。ロニー教授の講演は、普段憲法に関心のない方々へのアプローチの仕方として、重要かつ新鮮なヒントとなるものであった。
  3.  10月14日の「9条世界会議関西2013」の成功を目指すプレ企画として、8月19日には、元芦屋市長の北村春江弁護士(大阪弁護士会)を招いて、講演会を開催する。自ら戦争体験を有する北村弁護士は、「戦争につながる道に一歩でも踏み込んだら、後は泥沼です。かたくなな考えかもしれませんが、戦争を体験した世代として、そこは強く言いたいですね」と力強く語っている(毎日新聞2013年6月21日記事)。
     全国初の女性市長として注目を集め、阪神大震災からの復興を陣頭指揮した経験を持つ北村弁護士。憲法9条を一度でも変えてしまえば、歯止めが効かなくなり、我々にとっては想像でしかない戦争の世界がリアルとなって忍び寄る・・・。戦争を知る北村弁護士の話は、理想論ではなくまさしく現実論である。9条世界会議関西2013の本番もさることながら、本プレ企画(8月  日、午後6時  分~、大阪弁護士会館2階)にも是非多くの方に参加していただけたらと思う。

 

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