民主法律時報

自治体の非正規雇用職員の願い「誇りをもって安心して働き続けたい」―会計年度任用職員制度の雇い止めをゆるさない―

大阪自治体労働組合総連合(大阪自治労連)

1 全職員の4割を超える非正規、職場ではなくてはならない重要な仕事を担っています

自治体職場では、政府がすすめる「地方行革」にもとづいて全国的にアウトソーシングと非正規化がすすめられてきました。総務省の調査では、1994年度の全国の自治体職員は328万人、その後2005年から2009年の集中改革プランなどにより295万人(2007年度)に減り、さらに2020年度には276万人まで減少しています。大阪では、1994年度の10万人が2007年度には10万5千人、さらに2020年度には6万9千人。全国的な削減率は 16%ですが、大阪は47%とほぼ半減となっています。

大阪労連の「大阪府内における臨時・非常勤職員の2022年賃金・労働条件調査」では、非正規職員は約4万4千人。調査を始めた2006年から17年間で約1万6千人増えていることがわかりました。

非正規職員の比率が40%を超えるのは23市8町1村、50%を超えるのは6市7町。総務省の調査によれば、昨年度の全国の自治体の非正規職員の比率は約20%なので、大阪府内の自治体における非正規率は突出して高いことがわかります。

また、自治労連が「誇りと怒りの3Tアクション」として取り組んだ「会計年度任用職員の実態アンケート(全国で2万人、大阪で1500人の回答)」では、コロナ禍でも社会活動維持のために必要なエッセンシャルワーカー、医療・福祉・介護になくてはならないケアワーカー、住民生活を支えるために必要な専門職の多くを非正規職員が担っていることも明らかになりました。改めて、正規職員と同じように自治体の重要な仕事を担っていること、そして、非正規職員なしには運営が成り立たないことがわかる結果となりました。

2 安心して働き続けるために、雇用の継続こそ自治体の責任です

政府は、全国の地方自治体ですすむ非正規職員の増加や、その劣悪な労働条件など様々な問題を解消させるために、2020年4月から「会計年度任用職員制度」をスタートさせました。

導入の効果として手当支給や休暇制度など処遇改善が図られることが期待されましたが、その名が表すとおり、依然として雇用不安は消えず、さらに、総務省が運用マニュアルで「再度の任用(雇用)は2回まで」としたことにより、多くの自治体で任用回数に上限(2回更新として雇用期間3年、4回更新として雇用期間5年…など)を設け、年度末で雇い止めにしたうえでその職を「公募」することが行われています。職員は履歴書などを提出し、採用試験を受けなければならない事態が起こっています。

また、これまでフルタイムだった勤務時間を、人件費削減のために時間を減らしパートタイムにしたり、わずかな「一時金」を支給するため、月々の給料を削って手当に回すなど、処遇改善とは程遠く、長年仕事に誇りをもって働いてきた職員の意欲を低下させるような事態となっています。

3 “住民のいのちとくらし守る自治体 ”の担い手として、「誇りを持って働きつづけたい」「正当に評価して欲しい」など多くの声が寄せられています

自治体で働く非正規職員は、同じ職場で働く正規職員との格差が依然として続いています。非正規職員の要求は、賃金引上げや休暇制度の改善など均等待遇はもちろんですが、「どんなに手当がついたり、賃金が上がっても雇い止めされたら意味がない」「雇い止めの心配なく、やりがいをもって働きたい」などの声が寄せられているように、雇い止めの不安を解消し安心して働きつづけられる身分の保障です。

「自治体職員として誇りをもって働き続けたい」「自治体労働者としてなくてはならない存在であることを認めて欲しい」など、自分がしている仕事にやりがいや誇りがあるからこそ正当な評価をしようとしない国や自治体当局に対する怒りが沸き起こっています。

大阪自治労連は、最も労働組合を必要としている非正規労働者に、労働組合への加入を呼びかけて、雇い止めをゆるさず、待遇改善を勝ち取ることを2023年春闘でめざしています。
◎各自治体に対する緊急要求
1.現在の職に任用されている会計年度任用職員の意向を必ず確認し、任用を希望する場合は公募を行わないこと。
2.公募を行うのは、現在の職に任用されている会計年度任用職員が任用を希望しない場合、会計年度任用職員の欠員が生じている場合、新たな職に会計年度任用職員を任用する場合に限ること。
3.会計年度任用職員が従事している職が廃止される場合、他の職への任用替えを行うこと。
4.非公募による任用回数の上限を撤廃すること(上限をもうけないこと)。
◎政府・総務省に対する要求
1.安心して働き続けられる制度にするため、任用期限の上限を撤廃すること。当面、再度の任用にあたって非公募とし、制限を設けないようにすること。
2.「会計年度任用職員」の賃金を大幅に引上げ、一時金(期末・勤勉手当相当額)、諸手当を改善すること。休暇制度(有給の病気休暇)など処遇を改善すること。
3.処遇改善のため、法改正の提案と予算措置を行うこと。

経験を持った会計年度任用職員が安心して働きつづけられることは、住民サービスの水準を守ることにつながります。また、雇用が保障されてはじめて、住民サービス改善に向けて「ものが言える」ようになります。会計年度任用職員制度の問題は、当事者の雇用・労働条件に関わるとともに、住民全体に関わる問題なのです。

公務職場の実態や「いのちとくらしを守る自治体のあるべき姿」を発信し、住民と共同し、国に対して法制度そのものを抜本的に改正させる運動をすすめています。公務も民間もすべての労働者が雇い止めの不安なく、安心して働きつづけられるルールの確立、一人ひとりが正当に評価される身分と労働条件の実現をめざし、引き続き運動を広げます。

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