民主法律時報

非正規労働者の雇用不安と官製ワーキングプアをなくそう!自治体で働く職員の賃金・労働条件調査結果

大阪労連 三枝 花世

大阪労連と大阪自治労連は3月20日に、大阪府庁で「雇用不安と官製ワーキングプアをなくそう!自治体で働く職員の賃金・労働条件調査結果」の記者会見を開きました。自治体で働く非正規職員の多くは恒常的業務に従事しているにもかかわらず、雇用は不安定で低賃金なままの実態が浮き彫りになっています。

2023年4月1日現在の実態を調査し、大阪府を含む全44自治体から回答を得ました。正規職員数は調査開始の2023年から18年間で4万人、64%も減る一方で非正規職員は1万2500人増加(教育・消防職場除く)しており、非正規職員が4割を超える自治体が22市9町1村(約73%)、5割を超える自治体が7市6町(約3割)となっています。近年多発する自然災害への対応をはじめ公務公共サービスを充実させていくためには、正規職員での人員増が必要と訴えました。

2020年度からの「会計年度任用職員制度」で少しずつ待遇改善は進んでいるものの、無期転換ルールや、労働契約法や最低賃金法が適用されず、再度の任用が2回や4回までと制限されている自治体があります。今回新たな質問として、会計年度任用職員で扶養家族がいて扶養控除を受けてい人(主たる生計者)は何人ですかの質問には、34自治体が回答し、6034人が主たる生計者であること、回答があった自治体の非正規労働者のうち、18.19%が主たる生計者として就労している事がわかりました。

大阪自治労連からは、春闘の職場アンケートで非正規職員は雇用契約更新や低賃金に大きな不満や不安を抱えていると報告されました。また、貝塚市で働く会計年度任用職員の労働者から、「資格や高い専門性があっても低賃金」などの実態を述べ、「正規職員との格差改善を」と訴えられました。

大阪では自治体職員の非正規率が全国平均を超えて高く、60%を超える自治体もあり、また多くの業務がアウトソーシングされている中で、個人情報保護の問題や、民間委託を請け負う企業と自治体職員との連携が適切にできているかなど、住民からも不安の声が上がっています。『いかに安く人件費を抑えられるか』という認識だけで行政を進めることは、職務の遂行に支障をきたします。住民の安全・安心を守る職務を果たすためには、職員の安定雇用、労働条件の改善が不可欠です。

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