民主法律時報

中国雲南省 麗江 シャングリラ紀行(第4回)

弁護士 福 山 孔市良

 シャングリラをめざして

1 石鼓鎮と長江第一湾へ

 5月1日(火)メーデーの日、この日はバスでシャングリラ(3270メートル)の町へ出発する日である。
 途中、麗江から西へ50キロの町、石鼓鎮をまず訪れる。
 この町は古来、チベットとの交易の拠点として栄えたナシ族の町で、長江第一湾と呼ばれる金沙江(長江上流の呼び名)の大きな湾曲が見られる場所として有名である。
 金沙江はチベットの青藏高原の北東部を流れ下ってきて、ここで海羅山の断崖にはばまれてぐるりと方向を変える。
 ここを写した写真は、直角のような鋭い曲がった河がよく写っているが、これは航空写真だそうで、石鼓鎮の町の川岸からは、ぐるりと曲がった河は撮影は困難である。
 ここは流れも緩やかで渡河しやすいため、歴史上、四川省(蜀)と雲南省を行き来する際の渡河地として有名で、諸葛孔明の「5月渡瀘」フビライハンの南宋を滅ぼした河南への渡河に1936年賀龍将軍率いる紅軍第二方面軍の長征(ここから四川に向かって北上)などが知られている。
 私達は川岸に出て、ゆったりした長江の流れを見学してバスに帰り、屋台を見て廻る。その中でも、鼓状に編んだ大きな枕を売る屋台が特に目に付いた。しかし大きすぎて土産物としては買って帰れそうになかった。
 午前10時15分過ぎ、いよいよ大渓谷の虎跳峡を目指して出発である。

2 虎跳峡(コチョウキョウ)

(1) 金沙江の上流の深い谷、虎跳峡は麗江から行ける人気の観光地である。
 金沙江を挟んで麗江を代表する玉龍雪山(5596メートル)とシャングリラの哈巴(ハーパ)雪山(5396メートル)が向かい合ってそびえ立っている。
 現地の伝説では、この2つの山は兄弟といわれているそうである。
 虎跳峡は、この2つの山を分ける大渓谷であって、その高低差は3000メートルを越え、約15キロといわれる渓谷で、世界でもこれだけの規模の渓谷は見当たらないであろう。
 私は2003年正月に麗江に来た時は、1月3日にタクシーをチャーターして虎跳峡に行った時のことを思い出す。
 思い出すままに少し、その時のことを書いてみたい。
 タクシーの運転手はまだ30才前の青年で、名前は白族(ペイゾク)の田原(ケイモン)さん。彼は朝早くに頼んで、午前中、玉龍雪山に案内してもらい、2700メートルの地点でタクシーを降りて、バスに乗り換え3300メートル地点のロープウェイで登った。この当時は、風景区入山料が40元、ロープウェイ往復が165元で安くはなかった。
 午後からは虎跳峡行きであるが、運転手の田原さんが奇妙な提案をしてきた。自分は彼女がいるのだが、この彼女を助手席に乗せて虎跳峡に連れて行ってもよいか、ということだった。
 ガイドと相談しOKをして麗江に一度帰って、彼女を拾って虎跳峡に向かった。この彼女は楊春連(ヤンツンレン)さんという名前であるが、私にとって大変興味のある出身であったのでいろいろなことを質問した。彼女は納西(ナシ)族の一部のモソ族で、麗江の北約280キロの高原湖、濾沽湖(ルグークー)(2680メートル)の出身ということである。この湖の近辺に住むモソ族の社会は、中国でも珍しい母系社会が残されており、通い婚が、その当時そして現在も普通におこなわれていることを少し勉強して知っていた。
 子供はすべて母親に属し、子供は父親のことを父とは呼ばず、すべて「おじ」と呼んでいるそうである。
 麗江から2時間で虎跳峡の入口に到着した。ここから河沿いに歩いて往復8キロのハイキングであった。

(2) 思い出話は以上として石鼓を出発して虎跳峡へ向かったのだが、道路はガタガタで工事中の所が多い。どうも麗江からシャングリラに向けて高速道路が建設中で、そのための道路工事のようである。
 虎跳峡への手前、11時30分、まず昼食にする。一体この旅行の昼食はどんなものが出されたのか書いてみることにする。
 ニンジンの和え物、ワラビの炒め物、竹の子の炒め物、きくらげとほうれん草の炒め物、野菜スープ、豚肉の炒め物、焼肉、スペアリブの蒸し煮、トマトと卵の炒め物、ハムの炒め物、ご飯、ビール2本、ジュース1杯、以上。
 思い出すだけでも非常に沢山の料理が昼食として出されているが、ほとんど全ての人は残さないできれいに食べてしまっていた。野菜が多いので食べやすいのかもしれない。
 金沙江の上流に向けて河沿いの道を走る。
 2003年に私達がタクシーを降りて歩いた道が、対岸の下の方に続いているのがよく見える。現在でもそこを歩いている人も多い。
 私達は虎跳峡の大きな岩と激流の真上まで車で行って駐車する。そこから800段の階段を下って河のそばまで行くことにした。
 ここは最も狭いところで、幅  メートル程しかなく、激しい水しぶきが顔に当たりそうな感じがする程迫力があり、河のそばでは風がさわやかでほっとした気分になる。ただ、また800段を上がって元に戻るのは高度の高いところで非常に疲れてしまった。
           

 (つづく)

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