民主法律時報

「働き方改革」にNO! “まともな働き方”を求める 1.22集会を開催

弁護士 須井 康雄

2018年1月22日、エル・おおさかで、法律家8団体が標題の集会を開き、140名が参加した。
当協会の鎌田幸夫弁護士が開会のあいさつをし、日本労働弁護団の岡田俊宏弁護士が情勢報告を行った。改憲発議の国会審議を考えれば、遅くても3月上旬に、働き方改革一括法案の提出が見込まれる。「働き方改革」反対の運動にしっかり取り組めば、改憲発議の阻止にもつながる。

野田進九州大学名誉教授が「働き方改革にどう立ち向かうか」との演題で記念講演。均等待遇規定の内容と非正規労働者のタイプをクロスさせた一覧表に基づく解説は分かりやすかった。100時間の上限規制は、高速道路で200 の速度超過に厳罰を科すといって自慢するようなものと批判。野田先生は、勤務時間外の会社からのメール等を拒否できるという欧米でのアクセス遮断権の例も挙げ、生活時間をベースに、個々の企業の実情に配慮した労働時間を構築していこうと訴えた。

続いて、過労死家族の会の小池江利さん、労働組合の小林勝彦さん、清水裕さんによるミニシンポがあった。
小池さんの夫は、月80~140時間もの時間外労働をさせられ、脳疾患で 歳の若さで亡くなった。宿直日はたまった仕事を片付ける機会と化し、ほとんど睡眠もせず2日続けて働く結果に。いまだに過労死のご家族の相談が続いており、一人でも過労死のご家族をなくしたいと訴えられた。
運輸関連の小林さんは、トラック運転業務の労働者に、残業をして当然という感覚が根付いている面もあり、本来なら、残業しなくても一定の生活ができるように給料を上げるよう要求するなどの意識改革が必要と指摘。
介護関連の清水さんも、 日間連続夜勤の例や、タイムカード打刻後、深夜1時までサービス残業した例を紹介。経営者から、利用者のために頑張ってといわれると、まじめな人ほど現場に残ってしまうことを指摘。
インターバル規制、労働時間記録義務の法定化、8時間働けば生活できる賃金、労働サービスの利用者との連携など、様々な課題が浮かび上がった。

8名の国会議員からのメッセージも紹介。「働き方改革」というまやかしを見極め、労働者の尊厳を実現する真の働き方を求める集会アピールを採択し、閉会した。

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