弁護士 冨田 真平
2020年4月1月から、非正規労働者(有期、パート、派遣)について、通常の労働者(正社員など)との均等・均衡待遇を義務づけるパート有期労働法、改正派遣法が施行されています(パート有期労働法は中小企業について1年間猶予)。
そして、これらの法律では、新たに使用者の説明義務が設けられました。すなわち、労働者が使用者に対して、正社員や派遣先社員との待遇差やその理由などについての説明を求めた場合に使用者がこれらの事項について説明しなければならないとされました。さらに厚生労働省の通達では、使用者がこの義務に反して説明をしなかった場合には、説明をしなかったこと自体が待遇差の不合理性を基礎づけるひとつの事情になるとされています。
そこで、有期・パート・非常勤問題研究会(パート研)及び派遣労働問題研究会(派遣研)が中心となり、説明義務を活かして使用者(会社)に待遇格差の内容・理由の説明をさせ、均等・均衡待遇を実現するためのモデル要求書及びマニュアルを作成いたしました。
モデル要求書及びマニュアルは、①有期・パート労働者用のもの②派遣労働者・派遣先均等均衡処遇方式用のものと③派遣労働者・労使協定方式用のものの3種類あります。
これらのモデル要求書・同マニュアルについて、民法協のホームページ(http://www.minpokyo.org/information/2020/03/6859/)ですでに公開しております。
これらのモデル要求書についてはPDF版だけでなくワード版もアップしておりますので、各職場に合わせて適宜修正して使用していただけるようになっております。また、マニュアルには、待遇格差の内容・理由を説明させ、均等・均衡待遇が実現されているかチェックする手順を簡単に記載しております。
使用者側は4月の施行にあわせて、すでに様々な対策を検討していると聞き及びますが、労働者側もとにかくまずは待遇格差の内容・理由をきちんと説明させ、書面化させることが重要になっております。
そのためのツールとして是非ご活用いただくとともに、幅広い非正規労働者の方にご活用いただけるように周知等にご協力いただければ幸いです。
非正規労働者の声はなかなか集まりにくく、非正規労働者の均等均衡待遇が実際どの程度進んでいるのかについて、パート研や派遣研でもなかなか把握できていません。つきましては、これらの実情や上記モデル要求書を使って使用者から得た回答などについて、ぜひパート研や派遣研にご報告いただきますようお願いいたします。
また、モデル要求書を実際に使ってみた感想や「こういうことを追加した方が良い」、「ここを変えた方が良い」などのご意見がありましたら、是非パート研や派遣研にお寄せいただきますようお願いいたします。