民主法律時報

全国一斉過労死110番とプレシンポの報告

弁護士 立野 嘉英

◆ 過労死110番プレシンポについて
過労死110番を実施するに当たって、2016年6月9日、大阪過労死問題連絡会主催でプレ企画シンポ「睡眠と過労死・過労自殺」を開きました(場所はエルおおさか)。約  名と多数の方にご参加いただけました。
シンポジウムは、第1部において、労働科学研究所・慢性疲労研究センター長で睡眠衛生の研究者である佐々木司先生をお招きし、「睡眠の構造と長時間労働・ストレスの影響」というテーマでご講演いただきました。
そもそも、脳・心臓疾患(いわゆる過労死)の労災認定基準では、睡眠時間の短縮による循環器系への影響という観点から、月平均  時間の時間外労働という基準が定められています。
また、精神障害・自殺の労災認定基準においても、月100時間を超える時間外労働に従事した労働者はそれ以下の労働者よりも、精神障害発症のリスクが高まるという調査結果から、月100時間という時間外労働時間が心理的負荷の強さを評価する一つの基準となっています。
ですが、これらの調査研究や労災認定基準でも、深夜・交代制勤務の影響などいまだ十分なものとはなっていません。
そこで、もう一度、睡眠の構造、ストレスや循環器系への影響を捉え直し、今後の労災基準改定に向けた運動も行う必要があるのではないかといった問題意識があり、佐々木先生をお招きしました。
佐々木先生のご講演では、睡眠の役割、睡眠段階、徐波睡眠・レム睡眠の役割といった睡眠の基礎的なメカニズムから、適切な睡眠の構築がないと、いかなる健康影響があるのか(特に循環器系や精神的ストレスとの関係)といった点まで詳しくかつ分かりやすくご説明いただけました。特に、レム睡眠が精神的ストレスの解消過程であることや、循環器負担に影響していることなど、「適切な睡眠の質」と労働条件を考えるうえで貴重な情報をいただけました。
第2部では、大阪過労死問題連絡会・事務局長である岩城穣弁護士より、睡眠問題に言及した過労死・過労自殺事案の判例を包括的に整理して解説されました。
最後に、第1部・第2部の内容を踏まえた質疑応答では、参加者より多くの質問がなされ、睡眠に対する関心の高さが窺えました。

◆ 過労死110番について
6月18 日、過労死弁護団全国連絡会議主催の毎年恒例の全国一斉「過労死・過労自殺・パワハラ110番」が実施されました。
大阪では、合計32件の相談がありましたが、そのうち、今にも倒れそうだという過重労働の相談が22 件に上りました。
特に、昨今深刻な人手不足が指摘をされている飲食業界の店長さんや、IT関連会社の労働者の方等から超長時間労働の相談や嫌がらせ・パワーハラスメントの相談が相次ぎました。過労死防止法が制定されて今年で2年が経過しますが、なお深刻な「働き過ぎ」の実態が浮き彫りとなりました。

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