民主法律時報

大阪労働局との懇談会

弁護士 冨田 真平

 2018年7月6日に派遣労働問題研究会で大阪労働局との懇談会を実施しました。

労働局との懇談会は2015年派遣法改正を受けて2016年に行った前回以来2年振りでした。今回は、2015年改正法施行からまもなく3年を迎えるということで、2015年改正法の下での労働局の指導の実情、2015年10月1日に施行された直接雇用の申込みみなし制度(2012年改正法)についての労働局の指導の実情などについて、労働局から聞き取りを行うために、実施することとなりました。当日は派遣問題研究会のメンバー10名が参加しました。

懇談会では、まず最初にこちらから事前に質問した項目について労働局からの回答があり、これを踏まえたうえで、質疑応答・意見交換を行うという流れでした。
事前の質問事項としては、この間の相談の中で出てきた期間制限についての旧法と新法の適用関係の問題、みなし規定の指導について(特に脱法目的の認定について)質問を行いました。

前回の懇談会の中で、労働局から、脱法目的については判断しないという回答があったことも踏まえ、脱法目的についてどのように判断を行っているのか、具体例も挙げたうえで場合によって脱法目的について認定できる場合はあるのではないかなどの質問を行いましたが、これについては具体的な認定の判断方法に関することについては回答できないという形式的な回答しかありませんでした。
また、40条の8に基づく指導について、その数を尋ねましたが、これについては集約していないため回答できないということでした。関連して兵庫の労働局で、40条の8に基づく指導について、裁判等で係争中の事案については指導をしないという厚労省からの通達があり、指導が中止されたという件を挙げて、そのような内部文書があるのかという質問も行いましたが、これについても回答はできないとのことでした。
他にも、当日労働局が配布した資料(プレスリリースされているもの)の中に偽装請負についての指導の事例がありましたが、これらについて派遣労働者にみなし規定の適用可能性の説明を行っているのかという質問も行いましたが、これにも答えられないという回答でした。

今回の懇談会では、こちら側の事前の質問やその場での質問に対し、労働局の担当者からは「その質問には回答ができない」という対応が比較的多く、指導の実情(特に40条の8に基づく指導)についての踏み込んだ意見交換ができませんでした。

以前の懇談会ではもう少しざっくばらんな意見交換ができていたとのことですが、今回の懇談会では、労働局の担当者が余計なことを言うまいと杓子定規な回答に終始していたという印象です。今年の4月で担当者が変更になったこともあり、まだ担当者が赴任して間もない状況であったことが影響しているかもしれませんが、今後も定期的に労働局との懇談を行い、担当者との間で一定の信頼関係を作っていく必要性を感じました。

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