民主法律時報

大阪労働局との懇談会を実施

弁護士 榧 野 寛 俊

 2023年11月30日、派遣労働問題研究会(以下「研究会」)と大阪労働局需給調整課(以下「当局」)で懇談会を実施しました。この懇談会は継続的に行っているもので、前回2022年2月に行って以来の懇談会となりました。直近2回の懇談会では、新型コロナウイルスの影響により、研究会参加人数が4名・時間は30分と制限されていましたが、今回の相談会では、研究会参加人数が6名・時間は1時間と従来の懇談会の形式に近くなりました。

 懇談会は、研究会が事前に送付していた質問に当局側が回答した後、質疑応答がなされるという形式で行われました。
(1)需給調整事業に関わる指導件数・申告件数に関して
当局において助言指導等の件数自体は把握しているが統計を取っているわけではないこと、件数を公表しない理由は本省からの指示がないという回答でした。これに対して、研究会からは、本省にも統計をとって公開するように要望をしてほしいこと等の要望を行いました。
(2)均等待遇に関して
労使協定方式と派遣先均等均衡方式の割合については、第352回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会の資料が示され、労使協定方式は 88・6%、均等均衡方式が5・2%、併用が6・2%であり、当局の肌感覚としても9割が労使協定方式であるとの回答でした。違反例としては、当初の契約締結時に情報提供をしているが2回目以降の契約締結時や契約変更があったときに情報提供をしていないというものが多いとの回答がありました。指導に至るのは、無作為での調査を発端とするものであり、労働者からの相談・申告に基づくものは少ないとの回答でした。また、研究会から参加した労働者からも実体験を基にした意見が述べられ、当局との意見交換がなされました。
(3)派遣法違反に関して
40条の8に基づく助言等の数についてはあまりないとの回答があり、これに対して、研究会からは、統計を出してもらえると労働者の申告数も増えるのではないかということを指摘しました。派遣法40条の6に基づく教示については、労働者からの申告に基づくものでない限り、派遣先に指導して派遣先を通じて労働者に教示されるとの回答があり、これに対して、労働者が自身の権利にアクセスすることが不十分にならないかという観点から意見交換がされました。

 前回の懇談会参加者からは、前回と比較して、ざっくばらんな意見交換ができたのではないかという感想がありました。今後も懇談会を継続し、人数や時間の制限を撤廃してより活発な意見交換ができるようにしていきたいと思います。

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