民主法律時報

日本労働弁護団第63回総会レポート

弁護士 加苅  匠

1 日本労働弁護団総会@岡山

2019年11月8日(金)から9日(土)にかけて、岡山県で日本労働弁護団第63回総会が開催されました。全国各地から労働問題に取り組む弁護士、労働組合など、総勢200名ほどが参加しました。

2 1日目~幹事長報告、記念講演、報告討議~

はじめに、棗一郎幹事長より、日本労働弁護団の活動方針が示されました。労働課題は山積みとなっている状況ですが、日本では民主的運動や労働運動になかなか関心がもたれない中で、これまで以上に積極的で市民を巻き込む取組みが求められている現状が報告されました。

記念講演は、橋本陽子学習院大学法学部教授より、「労働者性の判断要素と判断方法」というテーマでご講演いただきました。インターネットの普及により、会社に行かなくても仕事ができる環境が整備されたり、時間に拘束されない働き方が普及されたり、「雇用によらない働き方」の普及が図られている今、改めて「労働者性」の要素を見つめなおすことが重要です。講演では、労基法上の労働者性と労組法上の労働者性の違いは、判断要素ではなく判断方法の違いであるといった新しい視点での検討方法が紹介されました。

その後、昨今の労働課題(具体的には、①労働者性、②雇用によらない働き方、③解雇の金銭解決制度、④均等待遇、⑤副業・兼業、⑥賃金等請求権の消滅時効、⑦医師・教員の働き方、⑧ハラスメント)について報告・討論が行われました。

3 2日目~特別報告、労働弁護団賞授与式~

2日目は、特別報告として、大阪労働者弁護団より関生支部に対する刑事弾圧の概要について報告がありました。
そして、労働界のノーベル賞と言われている(?)労働弁護団賞授与式が行われました。今年は、民法協から「大阪医科薬科大学労契法 条裁判弁護団」に対して賞が贈られました(鎌田幸夫弁護士、河村学弁護士、谷真介弁護士、西川大史弁護士、おめでとうございます!)。また、「ベルコ事件弁護団」にも同賞が贈られました。

4 2020年の課題

来年度も取組むべき課題はたくさんあります。ひとつひとつの課題を、労働組合と弁護士と学者とが連帯して克服していかなければならないと、決意を新たにすることができた総会でした。私もいつか労働弁護団賞がもらえるよう、努力を積み重ねていきたいと思います。

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