民主法律時報

分野・世代を超えた連帯はできる、社会は変えられる――NPO法人働き方ASU-NET第24回つどい報告

働き方ASU―NET 副代表 川西 玲子

2016年3月16日、エル・おおさかで開催した働き方ASU―NETの第24回の集いは、これまでのつどいの中でも特筆するべき画期的なつどいとなった。まさに時代の転換点と思わせるエネルギーに満ち溢れる7人のパネラーの話は、会場一杯145人の参加者の心に染みわたるように伝わった。

ポッセの坂倉昇平さんは、年間1500件の労働相談に取り組み、起こっていることを社会的に発信して、社会問題化し政策課題としていくことの重要性と、業界全体に影響を与える取り組みとなった美容・塾等の大手企業の取り組みを紹介した。

関西学生アルバイトユニオンの北村諒さんは、今の学生には奨学金が重くのしかかっている。ブラックバイトで泣き寝入りする状況を変えていきたい。学生が相談しやすいのは学生であり〝耐える力を変える力に〟をモットーにして働くこと学ぶことを問い直している。

地域労組おおさか青年部の北出茂さんは、一人でも入れる地域ユニオンとして20代~30代を中心に労働相談から企業との交渉も行い解決まで取り組んでいる。パワハラや職場の労働条件の劣化と闘う若者に〝正しくキレよう〟を合言葉に学習・交流に取り組んでいる。

シールズ関西の寺田ともかさんは、与党は3分の2を占め何でもやれてしまう、次の国会では憲法改正を目論んでいる。今止めなければという思いで野党間の結集を求め「統一候補を立てて下さい」と地方でもテーブルを設けてきた。また、大学に投票場を設ける運動もしてきた。3・11の原発事故やイラク戦争などを通じて政府や報道に疑問を持ったことが声を上げる活動に参加するきっかけになった。

サドルの中村研さんは、サドルは都構想の取り組みから生まれた。単に賛成か反対かではなく不安に思っている人との対話を大事にしてきた。サドルの特色はそれぞれのライフワークでつながり、一人ひとりの背景を活用し何ができるかを持ち寄って街の雰囲気を変え、国会の中と外をつなげたい。「チャット」をするように街頭で対話するのはその手段でありイメージは井戸端会議。政治のハードルを下げていきたい。

アンツの磯田圭介さんは、堺市で戦争法を廃止させることを目標に地域に根ざして結成した。気軽に集まり戦争法反対の声を上げるゆるい組織。昨年6月から毎月1回のデモや駅前でのスタンディングに取り組んできた。SNSで呼びかけるので常に新しい人が参加し、中学生たちもカッコイイ!と署名を集めてくれ、お母ちゃんたちから差し入れもある。署名活動は心意気だ。

エキタス京都の橋口昌治さんは、「最賃1500円」「中小企業に金をまわせ」「経済にデモクラシーを!」がスローガン。運動で引き上げさせていくことに意義がある。街頭・路上での活動が中心になっている。しかし、最賃は労働組合の重要な課題でもある。

第2部のパネルディスカッションではコーディネーターの岩城穣弁護士より、「各組織のコミュニケーションの取り方」「デモやサウンドの形態」「各団体の苦労や悩み」「民主主義やサイレントマジョリティの受け止め方」など大変興味深い質問がされ、紙面の関係でご紹介出来ないのは残念ですが、大いに感嘆し納得する質疑に時間がたつのを忘れました。

最後に「社会を変えられるのか」という質問には「社会は絶対変えられる、しかし、今まで政治の話をしなかった人たちに働きかけない限り変わらない。変えることをみんなでやりたい」「社会は変わっている。自分も変わった、展望と希望を持つことで今では他の人を変えたいという気持ちになった」「今の若者の動きを労働者階級全体に拡げることが大事」「野党は協力―今まで考えられなかったことができている。社会は変えようと思えば変えられる」「全ての人が安心して働ける方向に変えられる、もっと私たちに成功した話だけでなく失敗した話も教えてほしい」「戦争法反対の大きなうねりが労働相談に来る若者たちの変化につながっている。「助けてほしい」から職場を変えたいと言う人が出て来ている」など率直で前を見据えた発言に元気と勇気をもらって熱気の中で閉会しました。二次会は7団体の若者を中心に30人以上が分野を超えてさらに交流を深め盛り上がりました。

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