民主法律時報

日本労働弁護団の全国総会に参加しました

弁護士 長 瀬 信 明

2015年11月6日(金)から7日(土)にかけて、日本労働弁護団第59回全国総会が群馬県みなかみ町の源泉湯の宿「松乃井」で開催されました。民法協の会員も多数参加しておりますが、民法協の事務局次長として、あらたに日本労働弁護団の常任幹事に就任いたしましたので、当職よりご報告いたします。
初日は、鵜飼良昭会長のご挨拶からはじまりました。近時、派遣労働者自身が声をあげるようになったり、戦争法案に反対に多くの市民が声をあげるなど運動の広がりをみせており、そうした流れを労働法制改悪阻止につなげていくことの重要性を述べられていました。

その後、橋爪健群馬弁護士会会長のご挨拶、高木太朗幹事長から報告を経て、野田進九州大学教授による記念講演「労働時間の規制とその課題―フランス法の視点から」が行われました。とても勉強になることばかりでしたが、例えば、フランスでは、労働組合の組織率は3%程度だそうですが、非組合員にも協約が適用されるため、組織率は問題ではないそうです。また、個別合意も協約が前提となるため、日本のように使用者からの提案に抗えない危惧感はないということにも驚かされました。さらに、フランスでは、労働時間に絶対的上限が設けられ、それがそれなりに機能している点についても驚かされました。これがわが国に導入された場合を考えますと、実効性を担保するためにどうするのか、そもそも労働時間を把握できるのか等いくつも問題があることもわかりました。鎌田幸夫弁護士から、いの一番に質問されるなど、講演の後も活発な議論がなされました。
講演の後、闘争本部の棗一郎弁護士、菅俊治事務局長による報告、各地から報告が行われ(大阪からは中西基弁護士が報告されました。)、その後、討議がなされました。三六協定の問題点、残業代が生活の基盤となっていて残業を減らせといえない現状についての報告もありました。

2日目は、愛知のブラックバイト対策弁護団からの特別報告から始まり、青少年の雇用の促進等に関する法律、女性活躍推進法、過労死等防止対策推進法についての解説がなされ、労働法教育(ワークルール教育)の重要性についても訴えがありました。
また、大阪から、村田浩治弁護士によるヘイトハラスメント裁判への支援の要請、中西基弁護士による大阪市職員組合の市役所庁舎からの退去訴訟についての報告がなされました。
その後、新旧役員人事、新旧役員のご挨拶があり、日本の労働者のため、労働組合のためという日本労働弁護団の目的が確認され、終わりました。
今回、総会が行われた群馬県みなかみ町は、かつての賑わいはないようですが、再生に向けて取り組んでいるところのようです。ちょうど見頃を迎えた紅葉とすばらしい温泉に何かと疲れ気味の我々はすっかり癒やされました。

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