民主法律時報

年度末も・・・ ブラック企業対策! 判例研究ゼミに学ぶ

弁護士 西田 陽子

1 年度末のゼミ
2018年3月20日(火)も、ブラック企業対策! 判例ゼミが開催されました。今回のお菓子は、筆者が金沢出張の際に入手した諸江屋の落雁です。
今回も、 期修習予定者や 期の新人弁護士が参加してくださいました。テーマは「就業規則の周知性」。発表担当者に新人が多く、参加人数も徐々に増えて15名程度となったこともあり、当日はいつもに増して活発に議論が行われました。

2 ゼミの内容
①フジ興産事件(最判平成15年10月10日 労判861号5頁)
担当は清水弁護士。就業規則の周知性のリーディングケースです。清水弁護士の作り込んだレジュメのおかげで、議論の土台はバッチリでした。
②NTT西日本事件(大阪高判平成16年5月19日 労判877号41頁)
担当は冨田弁護士。賃金制度の変更について説明会や勉強会の開催、書面配布による周知の試みはみられるが、新制度に移行した場合の具体的な賃金額や算定根拠について説明がなく周知が否定された事案です。こちらのレジュメも力が入っていました。
③中部カラー事件(東京高判平成19年10月30日 労判964号72頁)
担当は期待の新人、加苅弁護士。退職金規定の変更について、全体朝礼で説明がされたものの、制度変更の必要性や新制度の概要などを記載した説明文書等を一切配布・回覧していない等の理由から、実質的周知がされていないとした事案です。関連する諸制度(中退協等)まで調べられており、組合の方々からも積極的な発言がありました。
④新日本証券事件(東京地判平成10年9月25日 労判746号7頁)
担当は期待の新人、稲生弁護士。一部の労働者にのみ適用することを予定している就業規則は、該当労働者の大半に対して周知されていればよいとした事案です。こちらも活発に議論がなされました。
⑤角産事件(東京高判平成12年8月23日 判時1730号152頁)
担当は西田弁護士(本稿執筆者)。総務部長から労働者に説明があり、就業規則が席上におかれていたこと等から周知性を肯定した事案です。

3 終了後懇親会
判例ゼミでの議論が盛り上がったため、参加できなかった修習生の方、申し訳ありません! 次回は是非ご参加ください。
4 今後の日程等について
次回は5月23日(水)の開催を予定しています。ご参加お待ちしております。

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