民主法律時報

元自衛官が語る集団的自衛権・戦争立法――大阪弁護士9条の会 泥憲和さん講演

弁護士 松 本 七 哉

 大阪弁護士9条の会は、2015年6月29日、弁護士会館にて、「元自衛官が語る集団的自衛権・戦争立法」と題して、元自衛官の泥憲和さんを講師に招き学習会を行いました。
大阪弁護士9条の会呼びかけ人の石田法子弁護士の開会のあいさつで始まり、泥さんの講演のあとは、大阪弁護士会憲法委員会からの行動提起が武村二三夫弁護士、弁護士9条の会からの行動提起が愛須勝也弁護士、閉会のあいさつが森野俊彦弁護士9条の会新事務局長(元裁判官)と、そうそうたるメンバーがお話しをされました。
参加者は、120名を超え、大阪弁護士9条の会としては、初めて立ち見が出る盛況ぶりで、情勢が緊迫していることを示すものだと思いました。

 泥さんは、中学卒業後、陸上自衛隊に入隊し、少年工科学校を経てホーク地対空ミサイル部隊に配属されていた方です。国防の第一線で働きたいと、当時の仮想敵であった対ソ連防衛線である北海道の部隊に志願して配属されていたそうです。今でも自衛隊合憲論者であり、「日本が攻撃されたときは、自衛官は命をかけて国民を守ります」と述べておられます。そのような泥さんだからこそ、いかに現在の集団的自衛権の論議や、戦争法案をめぐる議論が空疎なものであるかがわかるのです。

 泥さんは、「安全保障の危機」というまやかし、「憲法は無力だ」というまやかし、「テロとの戦いは正義だ」というまやかしの3本柱で語られました。
○○脅威論というのが、デマで作り上げられたものであること等が、いずれも豊富な資料に裏打ちされた論拠で論破され、なるほどと呻らされました。
とくに、「憲法は無力か」で、紹介された、フィリピン・ミンダナオ島のJバードの取り組みは、聞いていて胸をうつもので、ドキュメンタリー番組を見ているようでした。憲法9条の思想が、紛争地域にあっても平和をもたらす力となることが、具体的に理解することができました。
「テロとの戦い」では、アメリカ軍の教科書を示し、アメリカ軍がテロを「低強度紛争」と位置付け、「テロ支援戦略の成功はアメリカの利益および法と一致」すると記載されていることを示し、アメリカ軍自身がテロを利用していることがわかりました。

 最後に具体的な複数の自衛隊幹部の名前を挙げて、その集団的自衛権の行使に反対する発言を紹介されました。泥さんの愛国心の原点が、「国民の中には自衛隊に反対し、その存在を認めない意見もある。しかし、諸君の任務は、国民が我々を否定することができる自由な社会を防衛することである。ゆえに、我々の任務は重く、崇高なのである」との自衛隊幹部の言葉であることが冒頭で語られています。泥さんの著書の中には、「自衛隊は日本最大の反戦団体だ」という冗談が、半ば本気で自衛隊内で語られているという記述があります。今、戦争法案の議論を「あほなこと言うなよ」と、一番切実な思いで聞いているのは自衛官かもしれません。

 戦争法案をめぐる、本当に経験もしたことのないようなせめぎ合いは、いよいよ最終盤です。これを廃案に追い込めば、憲法をめぐるたたかいに一定の決着をつけることができるのではないでしょうか。大阪弁護士9条の会も、これからもその先頭にたってたたかう決意です。

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