民主法律時報

大阪府時短協力金 「不支給」「返還」問題に対する運動

大阪商工団体連合会 事務局 西 村 麻友子

2022年の3月以降、民商・大商連に大阪府時短協力金(以下、協力金)を申請した飲食店から「不支給決定が届いたが、納得がいかない」「過去の受給分の返還まで求められた」との相談が次々と寄せられています。この間、私たちは、大阪府(以下、府)と交渉・懇談を重ね「協力金は1年近く営業を制限し、収入と商売の喜びを奪ったことへの補償であり、府の要請に応じた全ての飲食店に直ちに支給すべき。万一、不支給にする場合は、丁寧に理由を説明する責任がある」と求めてきました。しかし、府の対応は変わらず、本人が不支給のコールセンターに電話しても納得のいく説明どころか「結果は覆らない」「裁判はできない」「廃業したらいい」など心無い言葉を浴びせられ、さらには「今、自主返還すれば違約金はかからず分納も可能」などと半ば脅しのような対応をされた事例が相次ぎました。

私たちは、独禁法研究会を通じて大阪法律事務所の岩佐先生、加苅先生に助言を頂き、当事者が集まり状況を交流して、何ができるのかを考える対策交流会を開催することを決めました。8月5日(金)午前9時半から大商連会館で行った対策交流会には当事者10人を含む35人が集まり、「22年スナックをしてきたのに、府に営業実態がないと言われ、商売を否定された思い」「時短要請終了後に、通常営業に戻していないことを指摘されたが、それが不支給理由になるのはおかしい」「返還に応じなければどうなるのか?」など怒りや疑問が次々と出されました。ご出席頂いた岩佐先生から「営業実態があり、府の要請に応えて時短営業をしたのであれば、府からの不支給・返還に対しては、裏付け資料を整えて堂々と裁判で争えばよい。不支給と返還は分けて考えて、不支給は事業者側が行政訴訟(実質的当事者訴訟)を起こす。返還は府から裁判を起こされるのに受けて立つか、事業者が団結して集団訴訟として債務不存在確認訴訟を提起することも考えられる」、加苅先生から「府は時短協力金の給付には行政処分性がないとして不服申立を否定するが、行政手続法、行政不服審査法の適用がなくても、行政は国民を平等に扱わねばならず、行為の理由について説明責任を負う。府の個人情報開示請求や不支給決定に対する理由開示請求も運動として取り組むことが重要」など的確なアドバイスを頂きながら 時まで質疑は続き、「個別対応では限界。皆で力を合わせて頑張ろう」と確認して終了しました。

交流会には、まだ民商に入会していない飲食店も一部参加していましたが、終了後に「大変なのは自分だけじゃないと分かり、参加して良かった。対応策も示してもらえ参考になった」と入会を決意してくれました。ひきつづき弁護士の先生方のお力をお借りしながら、協力金の問題点とたたかいの方向性を伝え、当事者に寄り添って運動を続けていきたいと思います。

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