決議・声明・意見書

決議

大阪・関西万博の徹底的な事後検証とともに、カジノ計画の撤回を求める決議

 2025年10月13日、大阪・関西万博が閉幕した。政府および日本国際博覧会協会、大阪府・市は、「成功裏に終わった」と自画自賛を繰り返し、その「レガシー」を喧伝している。多くの来場者が万博を楽しんだことは事実であるものの、半年間に及ぶ開催期間を経て露呈したのは、膨れ上がった公金投入とその不透明さ、下請業者への代金未払いや建設労働者の過重労働、そして「いのち輝く」という理念とは裏腹の安全軽視の構造であった。

 吉村府知事や万博協会は「黒字」見通しを強調するが、これは会場運営費(1160億円)に限った話にすぎず(それも当初運営費に含まれるべき警備費250億円を国費負担に付け替えるなど数字を操作した結果にすぎない。)、会場建設費やインフラ整備費は含まれていない、まやかしの「黒字」である。半年で解体される大屋根リングの建設費約344億円を含む会場建設費は当初計画の1250億円から2度も上振れし、2350億円へとほぼ倍増した。また、インフラ整備という名目で巨額の税金(9.7兆円以上)が投入されているが、国民・市民に対する説明が不十分であり、その全貌は明らかとされていない。加えて、大屋根リングの解体・改修費用や残される一部の維持管理費用等の負担は、今後も大阪府民・市民にのしかかることとなるが、この負担もいまだに明らかにされていない。会場となった夢洲は、開催直前までメタンガス爆発事故や地盤沈下の懸念が払拭されなかった。不十分な熱中症対策や防災計画の不備、災害時の避難経路の限定は、来場者やスタッフの「いのち」を危険に晒すものであった。安全性が確保されず、また十分な情報が提供されないまま強行された「子ども招待事業」は、子供たちやその家族、教育現場に不安と混乱を与えた。子どもたちの「将来の夢や希望」のためではなく、来場者数の数字合わせを目的とした教育への不当な政治的介入に他ならない。

以上のとおり、大阪・関西万博には検証されるべき課題が山積みである。当会は、大阪府市及び万博協会に対し、関連する支出の全容や全ての事業に関する情報を明らかにした上で、これらの支出や事業の妥当性・合理性を徹底的に検証するよう求める。

 「いのち輝く」というテーマの裏側では、開幕に間に合わせるための突貫工事と長時間労働が常態化した。特に重大であるのは、海外パビリオン建設等に携わった中小建設業者への代金未払い問題である。軟弱地盤である夢洲での強行開催や案内や発注の遅延による工期の遅れなど、万博協会や大阪府市の見通しの甘さや無策に起因するものであって、中小建設業者や建設労働者にそのしわ寄せが及ぶことがあってはならない。万博協会及び行政は「民民の問題」として逃げるのではなく、国家プロジェクトとしての責任を果たすべく、早急に実態を調査した上で具体的な経済的支援策を講じるべきである。

 多くの問題が開幕以前から予見された中、わずか半年のイベントにこれまで巨額の公金が投じられたのは、2030年開業予定のIR(カジノ)のためのインフラ整備という「地ならし」のためであった。万博という祝祭を隠れ蓑にして進められてきた夢洲でのカジノ計画は、十分な災害対策や避難経路を確立しないまま、またギャンブル依存症について十分な対策を用意せず、それどころかギャンブル依存症について適切な理解がないまま強行されようとしている。市民のいのちや安全を脅かすものであって容認することはできない。

 大阪・関西万博の負の総括・検証を避けたまま、同じ夢洲でカジノ計画を進めることは、将来世代の府民・市民に計り知れない負担と損失を押し付ける暴走である。民主法律協会は、透明性が図られた住民による自治と真に「いのちが輝く」大阪を実現するために、大阪・関西万博の徹底的な事後検証とともに、これらの理念に反するカジノ計画の即時撤回を改めて強く求める。

2026年2月14日
民主法律協会 2026年権利討論集会

 

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP