決議・声明・意見書

決議

アメリカ・トランプ政権による国際法違反と力による支配に抗議する決議

 アメリカのトランプ政権は、2026年1月3日、ベネズエラに対し、大規模な軍事攻撃を実施し、同国のマドゥロ大統領夫妻を拘束し、アメリカ国内に連行した。そしてトランプ大統領は、適切な政権移行が可能になるまでアメリカがベネズエラを運営すると語った。ベネズエラ政府の発表によると、この攻撃で民間人を含め100人以上が死亡し、同数以上の負傷者が出た。アメリカは、1989年のパナマ侵攻においても当時の指導者を連行したことがあった。そうした過去の過ちに対する真摯な歴史的反省がなされないまま、再び同様の暴挙が繰り返されたのであり、最大限の厳しい言葉で非難する。

 国連憲章2条4項は、「国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、いかなる領土保全または政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しないその他いかなる方法によるものも慎まなければならない。」と定める(武力行使禁止原則)。今回の軍事攻撃は同条項違反であり国際法上、法的根拠は一切ない。トランプ大統領はベネズエラ経由の麻薬流入を「アメリカへの武力行使」にあたると主張するが、麻薬流入が国家による武力攻撃と同視できないことは明らかであり、自衛権の行使などの武力行使の例外規定にも該当しない。また、マドゥロ政権による長年の圧政や人権侵害などを理由に正当化しようとするが、ベネズエラの民主主義は同国国民の手によって達成されるべきものである。このように、これらの理由で他国による力ずくの政権転覆が正当化されないことは明白である。また、トランプ大統領は、国際法は不要、従うかは定義次第とも述べた。国際法に違反した国に法の遵守を強制したり、処罰したりする存在がないため、国際法は各国が固く遵守することにより実効性が確保されるものである。大国であるアメリカによる今回の国際法違反は、国際法の権威性を大きく失墜させ、国際社会における法の支配を破壊し、ひいては国際社会の平和と安定を崩壊させる恐れのあるものであり断じて許されない。

今回のベネズエラに対する軍事攻撃は、大国が自身の気に食わない他国の政権を直接打倒し、その国を支配下におこうとする「力による現状変更」にほかならない。アメリカはこれまで、ロシアによるウクライナ侵攻や、中国による台湾や周辺諸国に対する軍事的威嚇に反対してきたところ、アメリカが自ら「力による現状変更」を行ったことにより、今後、ロシアや中国の軍事的行動を助長する恐れがある。しかし、トランプ大統領は、今後、コロンビア、キューバ、メキシコなどの中南米諸国やデンマーク自治領グリーンランド、イランに対しても軍事介入することを示唆しており、「力による支配」を拡大しようとしている。自国の権益拡大のために武力による秩序の書き換えが横行するかつての帝国時代のような世界に向かうことは何としても阻止しなければならない。

このようなトランプ大統領の蛮行に対しては、各国が一致団結して厳しく批判しなければならないところ、高市首相は批判を避け事実上その蛮行を容認してしまっている。日本もアメリカとの同盟に依存せずに、他国と積極的に連携してアメリカの専横に歯止めをかけるべきである。

 当会は、平和憲法を擁護し、民主主義の前進を目的として結成された団体として、アメリカによる国際法違反と「力による支配」の拡大を厳しく批判し、同国に対して国際法の遵守と内政干渉をやめるよう強く求める。また日本政府に対しても、アメリカ政府に対し抗議し、国際法の遵守と内政干渉をやめるよう要請することを強く求める。

2026年2月14日
民主法律協会 2026年権利討論集会

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