民主法律時報

働き方改革推進法学習会をしました!

弁護士 加苅  匠

1 働き方改革を理解し、職場での闘いに活かそう!
2018年10月25日(木)、エル・おおさかで、「働き方改革推進法を理解し、職場での闘いに活かそう!」働き方改革推進法の学習会が開催されました。学習会では、強行成立した働き方改革推進法の問題点に加えて、問題への対処法や新たに導入された労働者にとってメリットのある制度についても検討し、今後の運動に活かすための実践的な学習会となりました。
学習会は二部構成で行われ、労働時間規制については井上耕史弁護士、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保については河村学弁護士に解説いただきました。参加人数は、約40名でした。

2 労働時間規制が逆効果!?
労基法改正により、時間外労働の上限規制が初めて設けられましたが、同時に、繁忙期6か月は「単月100時間、2~6か月平均 時間以下」(=過労死ライン)の時間外労働を認めるという重大な例外も設けられました。このような規制では、法が過労死ラインまでの時間外労働にお墨付きを与えたかのような印象を与えてしまい、労災認定の硬直化や三六協定改悪など労働者にとって不利益となるおそれがあることが指摘されました。また、高度プロフェッショナル制度の導入要件も確認し、対象業務の不明確性や十分な健康確保措置が要求されていないことが指摘されました。
しかし、過労死ラインぎりぎりの時間外労働も高度プロフェッショナル制度も、組合が過半数代表を取り、協定を拒めば職場に持ち込まれることはありません。過半数代表がとれずとも、導入反対キャンペーンをうち、むしろこれまでの協定等の見直しを行うなど、職場で取りうる手段はたくさん考えられます。また、使用者に客観的な労働時間を把握させ(強制義務)、勤務間インターバル制度を導入させる(努力義務)ことも長時間労働是正にとって有効です。

3 今すぐ活用! 均等・均衡待遇
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保のために、①パート労働法に有期労働者が組み込まれ、均等・均衡処遇規定が整理される、②派遣労働者についてもパート有期法と整合させる法改正がなされました。
均等・均衡処遇については、現在も労契法20条裁判が各地で起こされており、無期雇用社員との格差是正を求めることは可能です。今後は改正法の趣旨を踏まえた運動が求められます。
使用者側の予想される対抗策として、無期雇用社員の階層化(より処遇の低い社員と比較させるため)や正社員の諸手当の廃止・基本給への組入れが指摘されました。非正規の均等・均衡処遇を求める運動と無期雇用社員の処遇維持・改善運動を連動させて行うことが重要です。
その他、福利厚生施設の付与義務や使用者の説明義務の拡充など、均等・均衡処遇運動のために利用できる規定も要チェックです。

4 これからの取り組み
働き方改革推進法は成立してしまいましたが、今後は、改正法の不利な制度は職場に持ち込ませない、有利な制度は積極的に利用することが求められます。
そのためにも、まずは働き方改革推進法の内容をしっかり理解すること、そして、その理解を職場で共有すること、職場に広げることが大切です。
ぜひ、職場・組合で、働き方改革推進法学習会を!

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