民主法律時報

竹中工務店ほか二重偽装請負事件 大阪地裁不当判決

弁護士 西 川 翔 大

 2022年3月30日、大阪地裁第5民事部(中山誠一裁判長、上田賀代裁判官、岩佐圭祐裁判官)において、竹中工務店ほか2社に対して地位確認請求等を行っていた事件で、原告敗訴の不当判決が言い渡されました。

 原告は、施工図作成業務に従事する者として、採用段階から竹中工務店の指揮監督する現場で働くことを前提に株式会社キャリアサーチで雇用されました。その上で、当該現場業務が開始するまでの間、竹中の100%子会社であるTAKシステムズの事業所で竹中のマニュアル等を渡され、竹中式の表現法などを習得しました。当該現場業務が開始すると、原告は竹中従業員から指揮命令を受けて施工図面作成業務に従事しましたが、原告はこのような状態が偽装請負に当たり違法ではないかと思い、大阪労働局に相談・是正申告を行いました。大阪労働局は訪問調査を行い、竹中及びTAKに対して職業安定法44条(労働者供給の禁止)に違反するものとして是正指導を行いました。これを受けて、キャリアサーチは原告に対して派遣契約への切替えを提案したものの、具体的な労働条件を明らかにしなかったため、原告が派遣契約への切替えを断ると、原告はキャリアサーチから一方的に解雇されました。

以上の経過で、原告は、①竹中に対して黙示の労働契約ないし派遣法40条の6の適用に基づく地位確認請求、②TAKに対して派遣法40条の6に基づく地位確認請求、③キャリアサーチに対して解雇無効による地位確認請求を行い、三者を被告とする訴訟を提起するに至りました。

 本件では、当該現場で、竹中がTAKに施工図作成業務を委託し、TAKがキャリアサーチに再委託するという形式でその実態は派遣であったため、二重の偽装請負状態となっていました。そこで、二重の偽装請負の場合に派遣法40条の6が適用されるかが主な争点となりました。

原告は、①派遣法40条の6の立法趣旨からすれば限定的に解釈すべきではなく、派遣法40条の6の対象としている「労働者派遣の役務の提供を受ける者」という規定は労働者供給の場合にも適用ないし準用されるべきこと、また、②形式的に二重の偽装請負といっても、キャリアサーチは単に賃金支払機関にすぎず、実態としてはTAKが派遣元、竹中を派遣先とする一つの派遣として派遣法40条の6の適用を主張していました。

しかしながら、本判決は、極めて形式的に判断し、①に対しては、TAKと原告との間に雇用関係がなく労働者派遣関係はないことを理由に本条の適用を否定し、②に対しては、キャリアサーチが使用者としての実態を有していたことを理由に原告の主張を否定しました。

他方で、原告はTAKに対しても派遣法40条の6の適用を主張していましたが、本判決は、TAKが職業安定法44条に違反するものの、当該現場ではあくまで竹中の指揮監督下で就労したことを理由にTAKが「労働者派遣の役務の提供を受ける者」ではないとして派遣法40条の6の適用を否定しました。

 以上のように、竹中、TAKともに雇用責任を免れ、派遣法40条の6が直接雇用を定めた意味は失われており、不当な結論であることは明らかです。今後、二重派遣(労働者供給)状態を作出して派遣法40条の6の適用を免れようとする会社すら出てきかねず、本判決は極めて問題のある判決であると考えます。

 さらに本判決は、その他の争点においても不可解な評価や判断を下している部分が散見され、随所に反労働者的な評価を行い、労働者を救済するという観点は皆無です。原告、弁護団としては、この不当判決に対して直ちに控訴するとともに、徹底的に本判決の不当性を追及していき、最後まで闘い抜く所存です。

(弁護団は村田浩治、谷真介、西川翔大)

民主法律時報アーカイブ

PAGE TOP