民主法律時報

派遣先に対する 労働者派遣法40条の6に基づく直用化訴訟 ~全港湾阪神支部・名古屋支部の組合員らによる日検名古屋支部に対する直接雇用地位確認訴訟~

弁護士 冨田 真平

1 はじめに

全港湾阪神支部・名古屋支部の組合員である日興サービス株式会社の従業員16名が、派遣先である一般社団法人日本貨物検数協会(日検)名古屋支部に対して労働者派遣法40条の6(直接雇用申込みみなし制度)に基づき、直接雇用される地位にあることを確認する訴訟を、2017年11月27日、名古屋地方裁判所に起こしました。本件は、2015年10月に施行された申込みみなし制度を使った(弁護団が把握している限りでは)2例目の裁判になります。

2 日興サービスの従業員の日検での就労実態

日検は、国際物流の検数、検量、検査などを営む一般社団法人です。日検の事業の一つである検数業務とは、港での荷物の積卸の員数を検数して、荷主側と船会社の相互間に介在し、貨物の正確な個数・重量等を受け渡すというものです。検数業務には専門的技術を要するため、日検など4つの協会の職員や、これらの協会の指定事業体(関連会社)の労働者でなければ行うことができません。

日検の指定事業体の一つに名古屋市に本社を置く日興サービス株式会社があります。日興サービスの従業員は、入社後検数業務について日検名古屋支部の職員から説明・指導を受け、勤務場所・時間についても日検名古屋支部の職員からメールや電話で指示を受けるなど、日検名古屋支部の職員の指揮命令の下、日検名古屋支部が受託した検数業務に従事しています。

このように日興サービスの従業員の就労実態はまさに派遣労働であり、日興サービスの従業員にとって日検は実質的に派遣先なのです。

3 直接雇用を実施するとの確認書の締結

全港湾阪神支部及び名古屋支部は、従前から日検及び日興サービスに対し、日興サービスの従業員の低賃金・長時間労働の改善等を強く要求するとともに日検への直接雇用を求めて組合活動を活発に行ってきました。これに対し、日興サービス及び日検は、これらの組合活動を嫌悪し、日興サービスで働く全港湾阪神支部及び名古屋支部に所属する組合員に対して、就労差別などの不当労働行為を繰り返してきました。そこで、全港湾阪神支部及び名古屋支部は、2016年3月に、愛知県労働委員会に対して不当労働行為救済申立を行い、その後日検からの申し出により和解に至りました。その中で、日検は、全港湾阪神支部に対して、「指定事業体からの職員採用に関しては、平成28年度から平成30年度まで、毎年度約120名の採用を実施するよう努力する」ことについても文書で確認しました。

4 不当労働行為救済申立・その中で明らかになった日検の偽装請負

全港湾阪神支部は、同確認に基づいて、日検に対して、日興サービスで働く全港湾の組合員を採用するよう申し入れました。しかし、これに対し、日検はこの確認を一方的に反故にし、日興サービスの従業員と労使関係にないとして団体交渉を拒否しました。そこでやむを得ず、2016年11月に大阪府労働委員会に不当労働行為救済を申し立てました。

上記府労委での審査が進む中で、労働委員会から日検に対し、日興サービスの従業員が労働者派遣法上の派遣労働者であることの確認や日検と日興サービスとの間の契約内容を明らかにするよう求める求釈明がされましたが、日検はなかなかこれらを明らかにしませんでした。これを不信に感じた組合が日興サービスとの団体交渉において今までの日検との契約形態を明らかにするよう求めたところ、請負形式で行っていたことを明らかになり、偽装請負が発覚しました。さらには、日検と日興サービスが2016年1月に労働者には一切明らかにせず秘密裏にその請負契約を派遣契約に切り替えていたことも明らかになりました。

しかし、偽装請負が発覚した後も、日検の態度は一向に変わりませんでしたので、本件提訴に至りました。

5 日検に使用者としての責任を認めさせるために

様々な違法に加えて、偽装請負・直接雇用拒否という違法を重ねる日検に使用者としての責任を認めさせ、派遣労働者の雇用の安定を図るために、一丸となって労働委員会と本裁判を抜く所存です。皆様におかれましても本件提訴へのご支援のほどお願いいたします。

(弁護団は、坂田宗彦、増田尚、西川大史各弁護士と冨田真平)

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