民主法律時報

勝利は職場に戻ること――JAL不当解雇撤回裁判東京高裁判決

JAL不当解雇撤回裁判原告団 事務局次長 長 澤 利 一

◆はじめに
 この解雇事件は、2010年12月31日にJAL(当時は株式会社日本航空インターナショナル)が行った、パイロット81と客室乗務員84名を整理解雇したことに対して、解雇された148名が解雇無効等を求めている訴訟です。またこの事件は、会社更生手続下における整理解雇の効力が裁判上本格的に争われた初めてのケースでもありました。さらに、私たちの請求を棄却した東京地裁判決への全国の支援労働者や労働組合からの批判に対して、東京高裁がどのような判断をするのかという点でも、社会的に注目されていました。
 2014年6月3日に客室乗務員訴訟判決そして5日にパイロット訴訟判決が東京高裁において言い渡されました。両判決日の裁判所を400名以上の支援者が取り囲む中、言い渡された控訴棄却の不当判決に対して、怒りを込めたシュプレヒコールが霞ヶ関周辺に響き渡りました。こうして、私たちJAL不当解雇撤回裁判原告団の東京高裁で2年2か月にわたる闘いは、区切りを迎えました。

◆高裁判決の不当性
 両判決の特徴は、私たちの主張立証をことごとく退けた問題点の多いものとなっていることです。私たちは、解雇時点で削減目標数は大幅に超過して達成していたことについて会社資料を基に立証しました。しかし、この解雇の必要性に大きくかかわる争点に対して、高裁判決は、原判決の誤りを踏襲し、JALグループを含めて最終的にどのような人員体制が構築されていたのか、という新たな事実認定と判断を避けて、法廷で何も反論しない会社に軍配を上げたのです。
 これがまかりとおれば、管財人は労働者に人員削減目標を説明しても、更生計画策定後に後付けで設定した人員削減目標が未達であるとの理由で整理解雇が可能になってしまいます。
 さらに、私たちは、個人署名と団体署名、証人採用要請はがきの運動によって、高裁ではなかなか実現されない証人尋問を行わせることが出来ました。しかし高裁判決は、そこで明らかになった労使交渉における不当労働行為等の事実も一切無視したものでした。
 ひとたび更生会社になると、労働者は物と同じで働く権利をはく奪され、裁判所が選任した管財人が行うことが絶対となり、裁判で争っても結論は変わらない。こうした「世界で一番、企業が活動しやすい国」つくりを司法が応援するようでは、司法のありかたを自ら否定していると同じです。

◆空の安全問題
 この控訴審においても、私たちは、航空の安全とのかかわりを忘れずに、主張立証してきました。特に整理解雇4要件のうちの人選基準の合理性は、安全に大きくかかわる重要なポイントでした。
 高年齢を解雇の基準とし、ベテランから排除する差別的取り扱いは、国際基準にも反し、安全の層を薄くしてしまいます。そして安全運航のために、規則に従って病気欠勤した履歴を解雇の基準としたことは、職場に残っているパイロットと客室乗務員に「休まず働け」と無言の圧力をかけているのです。

◆2度のILO勧告
 この2年余りで、客室乗務員の新規採用は、2000名を超えています。加えてパイロットの訓練も再開され、来年度の新規採用も始まりました。私たちを会社の都合で解雇しておいて、新人を採用することは、大きな矛盾です。
 ILOから出された2度の勧告は、この事実を重く受け止め、私たちが職場復帰できるように、採用計画に含めなければならないとしています。

◆職場復帰が勝利
 私たちは、これからも解雇自由な社会にさせない闘いと空の安全を守る闘いを展開します。上告審のみならず、社会的な運動を繰り広げ職場復帰することを勝利とします。更なるご支援とご理解をお願いします。

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