民主法律時報

大阪市組合事務所団交拒否救済申立事件

弁護士 冨 田 真 平

1 はじめに

橋下市政以降続いてきた大阪市の組合事務所の問題について、2017年9月11日、大阪市による、大阪市労組の組合事務所の供与についての団交申し入れに対する団交拒否について救済を求める申立を、大阪府労働委員会に申し立てました。

2 大阪市組合事務所についての裁判・労働委員会での闘争

大阪市労組の組合事務所については、2006年7月、本庁舎地下1階に組合事務所を置くことが合意され、それ以降、形式は行政財産の目的外使用許可申請を行い、これが許可される形で組合事務所の使用を継続してきました。

しかし、大阪市は、2011年12月に就任した橋下市長の全ての便宜供与を廃止するという方針のもと、2012年度の使用許可申請について不許可処分を行い、その後も組合の申請を不許可としてきました。

大阪市労組は、このような大阪市の不当労働行為に対し、裁判・労働委員会で闘う方針で意思統一し、地裁への提訴、労働委員会への救済申立を行い、裁判・労働委員会での闘争を続けました。

労働委員会では、大阪府労委命令(2012年2月20日)・中労委命令(2015年10月21日)において、大阪市の不当労働行為が断罪され、同命令に基づいて、2015年12月15日、大阪市が誓約文を手交するに至りました。

他方で、裁判については、地裁判決において全面勝訴したものの、高裁判決で逆転敗訴し、2017年2月1日、最高裁判所第二小法廷(裁判長 菅野博之)が、市労組らの上告を棄却・不受理とする不当な決定を行いました。この最高裁の不当な決定を受け、2017年3月16日、大阪市労組は、断腸の思いでこれまで守り抜いてきた本庁舎の組合事務所を明け渡しました。

3 大阪市の団交拒否

大阪市労組は、裁判・労働委員会での闘争と並行して、大阪市に対し、2012年度使用不許可処分時以降、毎年のように、使用許可申請や同不許可処分の前後に、組合事務所の使用その他を交渉議題とする団体交渉を開催するよう申し入れてきました。しかし、大阪市は、管理運営事項(地公法55条3項)や労使関係条例を口実として、一貫して団体交渉に応じない態度をとってきました。

そして、そのような大阪市の態度は中労委命令が出されて以降も変わることもなく、本年3月に行った団交申し入れに対しても、約2ヶ月以上放置した上で、団体交渉の開催を拒否する回答を行いました。

そこで、この大阪市の団交拒否に対し、労働委員会に救済の申立を行うこととなりました。

4 闘いは再び府労委に

橋下市政以降続く大阪市との闘いは、再び府労委に闘いの場所を移すこととなりました。

労働組合にとって活動の基盤である組合事務所の問題は、まさに労働組合の存続に関わる重大な問題であり、団体的労使関係の運営に関する事項として、当然団体交渉の対象となるべき事項です。

最高裁の不当な決定を受け、組合事務所を明け渡すことにはなりましたが、今後も組合事務所の供与を求めることは、組合の当然の要求であり、これについて管理運営事項や労使関係条例を盾に一切団体交渉に応じない大阪市の態度は許されるものではありません。

このような大阪市の不当な態度に、労働委員会でノーを突きつけ、労働組合が自由な活動を展開できる正常な労使関係を取り戻すため、一丸となって闘っていきたいと思います。

今後ともご支援のほどお願い申し上げます。

(弁護団員は、豊川義明弁護士、城塚健之弁護士、谷真介弁護士、及び冨田の4名です。)

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