民主法律時報

JMITUダイトク分会不当労働行為救済申立事件――徹底的な組合敵視との闘い

弁護士 冨田 真平

1 はじめに

株式会社ダイトクによる、JMITU地本傘下の地域支部きずなダイトク分会の組合員である沖野氏に対する不利益取り扱い及び不誠実団交についての救済を求める申立を、2016年5月30日、大阪府労働委員会に申し立てました。

2 事案の概要

株式ダイトクは、トラックスケールや産業用・空港用はかりの製造販売業等を業とする株式会社であり、従業員は20名程度です。ダイトクは、かねてからサービス残業が蔓延するような状態で、従業員が低賃金の中で働かされていました。
そのダイトクにおいて、JMIU地域支部きずなダイトク分会が結成されたのは、平成24年11月のことでした。サービス残業問題でJMIU地本の事務所に相談に来た沖野氏と突然「協調性がない」との理由で解雇された藤村氏がJMIUに加入し、その後藤村氏の裁判をともに闘うために、ダイトク分会が結成されました。

翌年1月には、組合の結成をダイトクに通告し、組合の公然化を行いました。すると、ダイトクからの組合に対する嫌がらせがはじまり、沖野氏の賃上げが全く行われなくなるとともに一時金もわずか10万円程度のものになりました。組合は、このようなダイトクの態度に抗議を行い、藤村氏の解雇問題や賃上げや一時金の問題について、会社と団交を重ねてきました。しかし、ダイトクは、取締役などの役員を団交の場に出席させない、組合の質問に答えないなど、団交において一貫して不誠実な態度をとり続けました。
このような中で本件救済申立に至りました。

3 不利益取り扱い

本件救済申立の柱の一つは、賃金・一時金差別です。組合員である沖野氏は、組合加入の公然化後、一切の昇給がありません。また、会社では、夏期・年末に一時金がそれぞれ20万円程度支給されていましたが、現在は10万円程度しか支給されていません。組合は、この「昇給なし・一時金減額」について、会社に対して納得のいく説明をするよう求めましたが、未だに納得できる説明はなされていません。

申立では、平成25年1月の組合加入公然化以後、沖野氏が、上司から不合理な叱責を受ける、後輩だった従業員から挑発を受ける、職場の人間の態度がそっけなくなるなどの過酷な状況に置かれることを踏まえると、上記の「昇給なし・一時金減額」は、組合加入を理由とする不当な昇給差別・一時金差別としか考えられないとして、会社が非組合員と同額の昇給・一時金を支払うよう求めています。

4 不誠実団交

本件救済申立のもう一つの柱は、不誠実団交です。組合との団交において、会社側は一貫して不誠実な態度を取ってきました。社長などの役員が団交の場に姿を見せず、担当者に経営資料も持たせず、さらに驚くべきことに団体交渉において、会社側の担当者は、組合の質問に対し、ほとんど答えず無言を貫いています。

申立では、一時金や賃上げ、未払い残業代の調査・支払い、藤村氏の解雇撤回・職場復帰などの要求事項について、一時金の要求については、低額回答を行いながら、売上・経常利益の額のみ答え、それ以上は組合側の質問に全く答えず、経営資料の開示も一切行っていない点、それ以外の賃上げや未払い賃金などの要求事項については、一切組合の質問に答えていない点について、不誠実団交にあたると主張しています。

5 さいごに

大きな利益を上げているにもかかわらず、労働者に低賃金やサービス残業を押しつけ組合敵視を続けるダイトクに対し、労働委員会の場でしっかりと追及し、不誠実団交や賃金・一時金差別についての救済命令を獲得して、ダイトクをまともな職場にしていけるように、一丸となって闘っていきたいと思います。
今後ともご支援のほどお願い申し上げます。

(弁護団は、鎌田幸夫弁護士、清水亮宏弁護士、及び冨田真平)

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