民主法律時報

「乗り鉄」の日々

弁護士 井 上 耕 史

 私は鉄道の乗りつぶしを趣味にしている。大学合格直後の1992年3月から始めて、ちょうど  年後の2012年3月に全線完乗した(その後北陸新幹線が延長開業したが未乗)。司法修習生として大阪に配属された私は、平日夜に青法協や民法協の例会などに出る一方、休日は近畿圏の鉄道を乗りに出かける日々だった。大阪修習の1年間で100路線ほど乗ったと思う。

よく質問されるのが、「ケーブルカーは乗るの? ロープウェーは?」というもの。私は、「ケーブルカーは対象で、ロープウェーは対象外」と答える。鉄道事業法上、ケーブルカーは「鋼索鉄道」で、ロープウェーは「索道」だから。「索道」にはリフトも含まれるので、さすがに雪山のスキー場にリフトだけ乗りに行くのも…ということで、私は「鉄道」「軌道」だけを対象にしている。
ちなみに、日本では立山黒部アルペンルートだけに残るトロリーバスは、レールはないけど「無軌条電車」という鉄道の仲間。だから、「日本で一番高い場所にある鉄道駅は?」というクイズの答えは、「室堂」駅(標高2450m)である。

大阪の路線では、南海高野線(通称汐見橋線)の汐見橋―岸里玉出が面白い。汐見橋駅は、南海高野線の起点だが、高野山方面へのレールは岸里玉出で分断されて直通列車はない。駅舎に立つと、昭和  年代の観光地図が掲げられて、かつて玄関口であった名残を感じるが、それだけに寂寥感も増す。疎らな人影、1面2線の行き止まりホーム、ここが大阪市内とは思えない、異空間に立ち入った感じ。
汐見橋駅は、難波から1駅西の地下鉄・阪神の桜川駅に隣接しており、アクセスは悪くない。小旅行気分を味わいたい方はどうぞ。

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