民主法律時報

「ILOを活用して権利実現を目指す2・28研究集会」の報告

弁護士  村田 浩治

スキマバイトの拡大の中、安定雇用で人間らしい生活を営む労働環境を保障する日本の労働政策は変容し、政府・財界は労働法保護を後退させる動きを強めています。他方で国際労働機関(ILO)は「非標準的雇用」を抑制する動きを強めています。ILOの基準をどう活用していくのか考える目的で集会は開催されました。

冒頭の脇田講演では、ILOの歴史と理念が変遷してきた経緯を丁寧に解説されました。1944年の労働は商品ではないという有名な理念が、1970年代の新自由主義の台頭により変容し、厳しい規制を課す条約化から宣言や勧告という形に移行している中で、開発や社会保障、労働者の権利を包含する「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」という理念が共通課題として広がり、ILOの理念は豊かになっています。ところが、日本では、こうしたILOの理念を活用した取り組みは僅かで、韓国などと比較しても弱いのです。韓国では、ILOへの申し立てを通じて国内の判例や法律を変えてきた実績が多数あることが紹介されました。

労働裁判は「最高裁で負けたら終わり」と考える傾向が強いのですがILOは「本当の解決ができるまで対応してくれる」存在であり、もっと活用をしようと呼びかけられました。
集会では、会計年度任用職員制度導入に際して、ILO専門委員会の見解を引き出した杉並連帯労組の安田さんの実践が報告されました。訪問介護ヘルパーの苛酷な実態を訴え敗訴したものの、ILO申立を準備中のヘルパー訴訟原告・伊藤みどりさんからも報告がありました。

「スキマバイト」を含むプラットフォーム労働は規制されずあらゆる分野に広がっています。現状を改善するために、国際労働基準(インフォーマル労働の解消)に照らした実態告発が重要です。当事者の力で実態を広める告発する取り組みの必要性を感じました。

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