民主法律時報

「コロナ労災・過重労働・過労死110番」の報告

弁護士 西川 翔大

 2020年5月9日(土)10時から15時に「コロナ労災・過重労働・過労死110番」を実施しました。

新型コロナウイルスによる外出自粛を呼びかけられる中でも、感染リスクが高い中で日々勤務をしなければならない医療従事者、スーパーの従業員などの労働者や、隔日勤務や在宅勤務などで現場の人員が減り、過重労働を強いられている労働者を対象に、労災補償や過重労働の電話相談が、過労死弁護団全国連絡会議の呼びかけで、全国7カ所で実施され、大阪は大阪過労死問題連絡会の弁護士10名が対応しました。

新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償については、2020年4月28日に厚労省から「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」という通達が出されています。

通達によると、国内の新型コロナウイルスに感染した者について、①医療従事者等は原則(業務外で感染したことが明らかな場合を除く)、②医療従事者以外の者でも感染源が業務に内在するものとして感染経路が特定されたもの、さらに③感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられるような場合(ア.複数の感染者が確認された労働環境下での業務、イ.顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務)には個々の事案に即して、労災保険給付の対象となることとされています。

大阪では、コロナに関連する労災・過重労働について2件、コロナに関連した労働問題について8件、給付金や生活支援等その他コロナに関連した相談が9件で、計19件の電話相談を受け付けました。

例えば、調剤薬局で勤務している方から、受付業務で1日60人ぐらいの応対をしなければならず、4月に新型コロナウイルスに感染しまい、検査や病院代を自己負担で支払ったが労災の対象になるのか、5月は陰性により職場復帰が可能であると言われているが、他のスタッフから職場復帰に不安の声が出たため職場からは自宅待機を命じられており、自宅待機の給料が出るのか不安であるといった相談がありました。また、息子がスーパーで勤務しているという母親から、4月は月に1度しか休めず 時間ほどの長時間勤務を強いられており心配だという相談がありました。

他にも、保育所勤務の娘が三密の状況で発熱した子どもの対応をさせられており心配だという父親からの相談や、生活保護のケースワーカーの方でマスクやアルコールは自分で用意しなければならず、感染リスクも考えると出勤するのが不安だといった相談など、感染の不安・予防の相談も多く寄せられました。

ピーク時に比べると感染者数の増加が落ち着いてきているとはいえ、まだまだ収束したとは言えない状況です。新型コロナウイルスに感染した場合、感染の不安があるなど、労働者の皆さんからの相談は今後もまだまだ多く寄せられることと思います。

民法協では、毎週水(12時~16時)・金( 18時~20時)に労働相談ホットラインを実施しているほか、メールでの相談予約も受け付けています。また、大阪過労死問題連絡会では、6月 20日に毎年恒例の過労死110番を行いますが、コロナ労災・過重労働の相談も引き続き受け付ける予定です。今後もできる限り相談窓口を絶やすことなく、労働者の方々のお力になれるように尽力していきたいと思います。

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