大阪教職員組合 中央執行副委員長 山 下 弘 毅
1 社会的に教員の働き方がクローズアップされている今、教員が置かれている実態を知り、本当に教育現場が望んでいる「働き方改革」を考える場として、民法協から大教組へ呼びかけがあり、6月29日、オンラインで実施されました。参加者は約60名です。
2 まずこの学習会の問題提起として、現在の情勢について報告がありました。教員の長時間労働が文科省調査でも、過労死ラインの週60時間超が小学校で14.2%、中学校で36.6%に及んでいること、国の改革方針は給特法の教職調整額を4%から10%に引上げるが時間外手当の支給は後ろ向きであること、現在の「定額働かせ放題」は教員だけでなく全ての労働者の問題であることなどが語られました。
3 続いて小・中・高・障害児学校から、働き方の実態が報告されました。
小学校教員からは、「働き方改革」の名の下に時間外労働を減らすことだけが先行し、時間管理の打刻をしてから残業したり、打刻しないで土日の出勤をしたりすることがあるとの実態が報告されました。また、教員未配置=「穴あき」が今年も多く、産休や病休の代わりの講師がいつまでも来ないという実態が話されました。
中学校教員からは、長時間労働の原因として持ち時間数の多さが指摘され、週19時間授業している教員は、毎日1コマしか空き時間がなく、部活動も担当しているため、平日は20時、土日も出勤するという事態になっていると話されました。進路指導においても、大阪府独自の「チャレンジテスト」があるため、授業進度もそれに合わせなければならず大変だとの報告がありました。
高校教員からは、生徒の多くが部活動に参加しており、顧問で2つ、副顧問で5つの部活動を担当していて、体調が悪くても帰ることができないこと、一斉退庁日以外は毎日21時まで働いているとの実態を話されました。また、部活動の指導員として外部からきてもらっているが、報酬が安すぎて、なり手もいないことが報告されました。
障害児学校の教員からは、授業1コマのために4~5時間かけて教材や動画をつくっていることや、目が離せない子もいて、子どものいる時間は休憩も取れないこと、保護者と話すことも多く、その後に自分の仕事をするためにどうしても時間外になってしまうことなどが語られました。
4 その後、問題提起として松丸正弁護士が、この間教員の働き方は全く変わっておらず、過労で倒れる教員が「熱血先生」と美談にされている風潮がまだあること、「働き方改革」に少しは期待したが現在の教育は全く「持続可能」ではないことなどが語られ、過労で倒れる教員がいる限りどこに責任があるかを考え、その人の弱さのせいにしないで、過労死を1人も出さないたたかいを進めることが呼びかけられました。
最後には、行動提起として、教育研究者20名が呼びかけている「教員の長時間労働に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名」への参加が呼びかけられました。