民主法律時報

第2回労働相談懇談会の報告 ――社会保険制度について

弁護士 馬 越 俊 佑

 2月21日(金)に第2回労働懇談会が開催されましたのでご報告いたします。
 主催者挨拶の後、初めに西川大史弁護士から、平成25年11月から平成26 年2月20日までにあった労働情勢についての報告がありました。
注目すべきは、泉南アスベスト被害者に対し、大阪高裁が「国が法規制をせず、安全対策を怠ったのは違法」として1審より国の責任を重く認定し、3億4000万円余りの賠償を命じた(12月25日)ものです。
 また、大分県中津市の市立中学校図書館で非常勤の司書として  年間勤めた男性に対して、市が一般職として認めず退職金を支払わなかったのに対し、福岡高裁が1審大分地裁中津支部判決を取り消し、市に全額の支払いを命じた(12月12日)判決も注目すべきものと考えます。
 さらに、最高裁判所が示した基準や認定が今後の情勢に影響するものとして、1月24日に出された、派遣添乗員の「みなし労働時間制」の適用をめぐり、労働時間の算定が困難といえるかどうかは①業務の内容、②会社がどのような方法で指示や報告をしているか等を考慮して判断すべきである、とした判決も注目すべきと考えます。この他にも重要なものがありました。
 次に、学習会「年金、健康保険、労災、雇用保険などについての基礎知識」が開催され、講師を鈴木威信社会保険労務士(法円坂法律事務所内)が勤めました。
 まず初めに労働保険、社会保険の概要を解説して頂き、次に労働保険、社会保険のトラブルについてわかりやすく解説して頂きました。
社会保険制度は誰もが知っておくべき制度であるのに、小学校、中学校、高校と学校では習わないだけでなく、社会人になっても習うことがないというのが問題であると指摘されていました。
 最後の質疑応答の時間では、多くの質問がありました。印象に残ったものとしては、「企業が社会保険に加入していないことに罰則はないのか」という質問があり、これに対して「罰則はあるが、現実的にあまり適用されていない。」と説明されたこと、「離職票が2~3ヶ月出されない場合があるが、どうすればよいか」という質問に対して「職業安定所所長の職権で提出させることはできるが、経済的な損害は会社に対して損害賠償請求するしかない」と説明されたこと、「保険料が4月、5月、6月の収入で決まるのは何とかならないのか」との質問に対して「特例で例外が認められる場合があるが、単に忙しかったというだけでは難しい」と説明されたこと、がありました。
 最近の労働情勢の報告や社会保険制度についての講義により、少しでも労働者の権利を守ることにつながればよいと考えます。
 次回は、5月29日午後6時30分からの予定です。皆様ふるってご参加下さい。

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