民主法律時報

大阪市議会定数削減ストップ! 緊急シンポジウム

大阪市をよくする会事務局長 福 井  朗

 民主法律協会と大阪市をよくする会の共催で5月20日に「大阪市議会定数削減ストップ! 緊急シンポジウム」が開催されました。シンポジストは、西川大史(民主法律協会事務局長・弁護士)、山中智子(大阪市会議員)、大口耕吉郎(全大阪生活と健康を守る会連合会会長)、柏原誠(大阪経済大学准教授)の各氏でした。コーディネーターは福井朗(大阪市をよくする会事務局長)が務めました。

 西川氏は、「市長は議会からチェックを受ける立場。その市長が『定数削減を速やかに』などと発言するのは、異論を述べる議員を減らしたいから」とその狙いを指摘しました。また、「議会に多様な意見が反映されることは、個人の尊重がうたわれている日本国憲法第13条の要請でもある」と述べました。

山中氏は、これまで議員定数に関して各会派で、報酬や議会事務も含め総合的かつ丁寧な議論を慎重に重ねてきた経過を紹介しながら「次の定数の検討は2025年の国勢調査をもとに行うという合意を反故にし、何の理由もない」とし、「今回の定数削減で1票の格差はかえって拡大する」と述べました。

大口氏はこれまでの大阪市交渉で、弱者の権利を守る取り組みを重ねてきた経緯を説明した上で、維新政治後、生活保護を敵視し、利用者に対する徹底した劣等処遇の対応を挙げました。わずか150円の収入申告漏れを指摘し、「不正受給件数」とカウントするなどの例に参加者は驚きを見せました。

柏原氏は「この問題を議員の数に矮小化してはいけない」と指摘しつつ、大阪市長と大阪市会の特殊性に言及。「チェックを受ける市長が議会で多数を占める議員の公認権を有している」という異常さに触れ、明石市の例を示し「市民が議員や市長の公約や実践の度合いを評価する仕組みが必要」と述べました。

コーディネーターからは「大阪市は他の政令市と比べ2~3人区が異常に多く、今回の定数削減がされれば、24区中19区が2~3人区になってしまう」との危惧を述べました。

 「疑問を呈する維新議員もいる」「スーパー前の宣伝で公明党支持者が陳情書に署名」などの事例も紹介されました。急な提起にもかかわらず、参加者はオンラインとリアル参加で100人を超えました。

シンポジウム参加者の総意として、「多様な市民の意見を切り捨てる市会議員定数の削減中止を求める決議」を採択し、この危険性を広く市民に知らせ、大阪市会への陳情書の提出、議員要請を呼びかけてシンポジウムを終えました。

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