民主法律時報

労働法制に関する 政党・候補者アンケートを実施 ~今後の要求実現運動などに ご活用ください~

事務局長・弁護士 西 川 大 史

1 衆院選アンケートの実施

民法協では、2021年10月31日投開票の衆議院選挙に際して、各政党(自民党、立憲民主党、公明党、共産党、維新、国民民主党、社民党、NHK党、れいわ)及び大阪選挙区の候補者(選挙事務所などの連絡先が判明しなかった候補者を除く)に、労働法制を含む労働政策に関するアンケートを行いました。

政党に対するアンケートは、自民党、立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党、NHK党、れいわの各政党から回答がありました。公明党と維新からは回答がありませんでした(維新からは、2017年の総選挙時のアンケートでも回答がありませんでした。)。

候補者に対するアンケートは、22名(自民党1名、立憲民主党6名、共産党12名、維新1名、れいわ2名)から回答がありました。

各候補者及び各政党のコメントを含むアンケートの回答結果の詳細は、民法協HPに掲載しております「2021年衆議院選挙 労働法制に関するアンケート結果一覧表」をご確認ください。

2 自民党からの回答内容についての検討

自民党からは、新型コロナの影響による労働者に対する補償について、「雇用調整助成金の特例措置や、在籍型出向の活用による雇用維持支援を行うとともに、離職した方に対する就労支援や、ステップアップのための職業訓練を充実させ、雇用を守ります。併せて、非正規雇用者・女性・子育て世帯・学生をはじめ、コロナでお困りの皆様への経済的支援を行います。」との回答がありました。同一労働同一賃金については、「同一労働同一賃金の推進による公正な待遇の確保を着実に推進します。」、男女間の賃金格差についても、「非正規雇用労働者に女性が多いことを踏まえ、非正規雇用労働者の待遇改善を図るとともに、女性の正規化への重点的な支援を図ります。」との回答がありました。今後の自民党や国会議員への要請活動、要求実現運動などに積極的にご活用ください。

また、民法協では、解雇の金銭解決は、解雇規制を根本から破壊するものであり、裁量労働制は長時間労働の温床であることから反対の立場を表明していますが、自民党からは、裁量労働制の拡大や解雇の金銭解決制度の導入については、丁寧に議論、検討を進めていくべきとの回答でした。

3 野党からの回答についての検討

今回の総選挙で議席を獲得した野党からは、概ね、①新型コロナの影響による労働者の失業や収入減少に対する補償について、「新たな補償制度・救済策が必要」、②裁量労働制の拡大に「反対」(国民民主党「実効性のある規制を定めた法を制定する」との回答)、③解雇の金銭解決制度について「反対」、④全国一律1500円の最低賃金の実現に「賛成」(立憲民主党は「1500円を将来的な目標に段階的に引き上げ」、国民民主党「1000円以上の実現による暮らしの底上げ」)、⑤非正規社員の無期転換ルールについて「現状の法制度あるいは運用には問題がある」、⑥同一労働同一賃金の実現について「今以上に広く実現していくべき」、⑦男女間の賃金格差について「格差是正のために何らかの施策が必要である」との回答でした。

裁量労働制の拡大や解雇の金銭解決制度の導入などは与野党の見解の相違が明確になりました。今後の要求運動などに積極的にご活用ください。

4 まとめ

アンケート結果は、民法協のHPで公表するとともにツイッターにも投稿し、各種MLでも告知し、拡散いただきました。衆議院選挙の結果はご承知のとおりですが、アンケート結果については、今後の議員要請や市民への訴えなど、要求実現運動にもご活用いただけると幸甚であります。

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