民主法律時報

第50回働くもののいのちと健康を守る学習交流集会――「ホワイト」な働き方を労働者の手で

弁護士 馬越 俊佑

第1 はじめに
2017年12月9日に、第50回いの健学習交流集会がございましたので、報告させていただきます。

第2 午前の部
1 開会の挨拶
大阪職対連福田副会長の司会により始まり、はじめに川辺和宏実行委員長より開会の挨拶をしていただきました。概要は以下のとおりです。
昨今、新聞でも過労死、長時間労働の話題が大きく取り上げられている。この問題は根が深い、 協定を労働組合と結ばなければ、長時間労働はさせられないのであり、労働組合が闘わなければならない。どういう風に組合が存在意義を発揮するかが重要になる。労働者の処遇も含めて社会的にどう闘って行くか、職場からどうやって跳ね返していくかが重要である。

2 記念講演

続いて、全労働省労働組合近畿地方協議会の宮木義博氏から、「政府のすすめる『働き方改革』いのちと健康を守るために」と題しまして、記念講演をしていただきました。
以下、内容の概要を紹介いたします。

現政権の根底には「新自由主義」がある。中身は小さな政府と自由な競争である。小さな政府とは税負担の最小化、その反面となる社会保障などの縮小である。医療費や介護費用、年金を削減し、子育て支援とは言いつつ、育児環境整備が遅れ、現状は親が見るしかない状態である。自由な競争とは経済の活性化、その反面となる貧富の格差の拡大である。労働組合の存在を否定し、労働生産性の向上を重視する、これによる低所得者層の「爆発」を抑えるために最低限の「生きていける」状況を作るというものである。

長時間労働の是正についていうと、時間外労働の上限については年720時間とされているが、80時間の月平均の上限規制から720時間を12ヶ月で割った60時間を差し引いた20時間を休日労働時間に逃せば、結局は80時間×12ヶ月の960時間は時間外労働がさせられるということである。また、時間管理義務についても規定されなかった。ここを管理させないと結局意味がない。

高度プロフェッショナル制度「特定高度専門業務・成果型労働性」についていえば、重要なのは、成果型とはいいながら、この制度の中に、「成果を上げれば、賃金を上げる」などとは一切書かれていない点である。使用者側が始業、終業時間を決めることになっており、労働者側が決めるとはされていない。

安衛法の改正についても、一見すると、医師の権限が強化されたように見えるが、結局は会社との契約で成り立っている産業医であるため、どれだけ権限を行使できるのかは疑問である。

3 支援の訴え
パナソニックアドバンストテクノロジー事件訴訟について原告から支援のお願いがありました。職場でのパワハラ、いじめを根絶するための重要な訴訟であり、支援をお願いいたします。

第3 午後の部
1 分科会
午後から分科会がありましたが、私は第1分科会職場のメンタルヘルス~メンタルヘルスの基本と経験を学ぼう~に参加いたしました。
国本医師から、メンタルヘルスの基本的な知識を教えていただきました。現在では、これまでの「モデル」では説明できない類型が議論されてきている、最近では、「恐怖症」に類似しているのではないかという議論もある、というお話をお聞きし、大変勉強になりました。
また、各参加者から、労働現場の現状についてお話いただき、職場の現状を知る良い機会となりました。

2 閉会集会
分科会後、閉会集会が開かれました。各分科会の報告をし、真野実行委員会事務局長から閉会の挨拶がありました。
「いのちと健康の問題には、特効薬はないが、学んで取り組むということを常備薬にしてがんばっていきましょう。」という言葉が印象に残っています。
全大会の参加人数は73名、第1分科会23名、第2分科会9名、第3分科会25名と大変盛況となりました。次回はぜひ皆様にも参加していただきたいと思います。

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