民主法律時報

大阪過労死防止センター(シンポ+総会) 若者の過労死と経営者の責任~ワタミじけんから何を学ぶか

大阪労連 事務局次長 鈴木 まさよ

2016年4月15日に、大阪過労死防止センターがシンポジウムと第2回総会をエルおおさか南館で開催しました。第1部では、森岡孝二氏(過労死防止大阪センター代表幹事)の主催者挨拶があり、来賓として大阪労働局と連合大阪、大阪労連、大阪全労協の労働組合3団体の挨拶がありました。

 「ワタミ過労自殺訴訟の和解の社会的意義」と題してワタミ裁判代理人の玉木一成弁護士と「ワタミ過労死遺族支援と労働組合の役割」と題して全国一般東京東部労働組合の須田光照書記長が講演を行いました。

ワタミ過労死自殺事件は、平成20年4月にワタミに正社員として採用された26歳の女性新卒社員が、5月には精神疾患を発症、6月12日午前2時頃にマンションから墜落死した〝新入社員の過労死の典型例〟(玉木弁護士)ともいえる痛ましい事件でした。「体が痛いです。・・・どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」という残された彼女のメモは、事件とともに衝撃をもって報道され、ブラック企業ワタミへの世論の批判が巻き起こり、若者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業への規制強化の運動へと繋がった事件でした。

「道義的な責任はあるが、法的責任は認めない」という渡辺美樹氏に対し、両親の「誰が娘を殺したのか、真実を明らかにしたい」という思いに寄り添い、判決以上の和解を勝ち取った弁護団と支援する労働組合の役割と運動は大きな力を発揮しました。和解では、連日深夜・未明に及ぶ残業、不適切な社宅(遠距離)のため終業後も店内に留まらざるを得ず長時間労働になったこと、過重な調理作業、終業後や休日の研修会への出席など、業務が原因であることを認めさせるだけではなく、ワタミグループの創業者の渡辺氏、代表取締役と人事統括本部長の3者個人に対する、不法行為による損害賠償責任を認めさせたのも画期的でした。

特に渡辺氏に対しては、創業者・代表取締役として、最も重大な損害賠償責任を負うことを認めさせたことは判決以上の内容で、慰謝料額についても通常の慰謝料金額を超える、懲罰的要素を考慮した金額を認めさせました。

さらに、実労働時間を終業時間との相違がないように厳格に管理すること、勤務地と居宅地が離れていることによる、不要な事業場在場時間をなくすこと、研修会、新卒ボランティア活動、課題作成等を業務時間として残業代を支払うこと、さらに正社員募集にあたり、就労実態を正確に説明し、基本給額と深夜手当金額を分けて説明する等の、具体的で厳格な再発防止策を認めさせ、被災者だけでなく、他の新卒社員に対しても、全員賃金等の支払いや控除金の返金を約束させたことは、被災者の命を奪ったブラック企業をまともな企業への再生させたいという、遺族の強い願いを反映させたものでした。

経済利益優先で、長時間過密労働を強いる企業に対し労働時間規制などを強化する世論と運動をともに強化していきましょう。

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