民主法律時報

期限のない仕事に 期限をつけて雇用するな――17/9/23なくそう! 官製ワーキングプア 第5回大阪集会

実行委員 川 西 玲 子

 「期限のない仕事に期限をつけて雇用するな」を合言葉に、労働運動の潮流を越えて、現場の非正規職員・正規職員・OB・OG・弁護士・研究者など多彩なメンバーが共同して実行委員会を結成し、民法協を始めとする弁護士団体、NPOなどが共催団体となって、今年で5回目の開催となり午前・午後のべ245人の参加があった。

今年の集会の特徴は、5月の地方公務員法・地方自治法改定で「会計年度任用職員」が新設され非正規公務員がますます不安定な身分に位置づけられたことにある。その狙いと内容を学習し市民にとっても、働く側にとってもどんな問題があるのかを明らかにして2020年施行までにやるべきことを学習し交流した。

参加者は任用替えに乗じた雇止め、欠員状態を口実にした民営化、今回の改定の水準が低く不利益変更になるのでは、などの不安を抱えての参加だった。また民間では来年4月には労働契約法による無期雇用への転換が始まり、それを避けるための雇止めも起こっている。非正規労働者にとっては民も官も「有期雇用」が大きな問題になっている。今問われている「まともな働き方」の根幹である「期限のない仕事に期限をつけて雇用するな!」「コマ切れ雇用をやめろ」を社会的に問う集会となった。

午前中の「官製ワーキングプア入門」講座では今回の法改正のポイント、実態と法のかい離など分かりやすく解説し当該の非正規はもちろん、自治体議員の参加も多く豊富な資料が喜ばれた。今後自治体ごとの条例化が大きな争点になっていくため、議員に理解を求める活動は大変重要となる。「韓国ソウル市の労働政策を学ぶ」分科会では、非正規の正職化はほぼ完了し委託先を直営にもどす段階に入った驚きの報告と、ソウル市の「労働尊重特別市」の「7大約束」の具体的な数値を上げた到達の報告には「なぜソウル市はそんなことができるのか」「もっと知りたい」という感想が多数寄せられた。官製ワーキングプア研究会はこれまで何度も独自にソウル市調査に行ってきたが、引き続き日本が参考にできる最新の労働情報を発信していきたい。

午後からの全体会のリレートークでは雇止め裁判の吹田・大阪大学、労契法20条裁判の郵政・大阪医科大、労働基本権はく奪問題で大阪教育合同が現場からのリアルな報告をした。特に直前に判決があり不合理な労働条件の相違を認めさせ、これまでの20条裁判の消極的判決の流れを変えて、非正規の格差是正の扉を開かせた郵政ユニオンの報告は大きな拍手で迎えられた。引き続く西日本判決(2/21 )と大阪医科大(1/24 )の事件でも勝利判決を目指していく決意が語られた。

基調講演は上林陽治氏の~地公法・地方自治法改定と総務省マニュアルを読み解く~
「それでも今後に何を見いだすのか、賃金・労働条件・雇用継続」と題して、問題点の指摘と同時に2020年(法施行)までにできることをしておく、攻めの戦術を学ぶ重要な学習となった。基調講演を受けて「これからの非正規公務員」をテーマに竹信三恵子さんがコーディネーターのパネルディスカッションでは非正規職員・正規職員・弁護士・議員の4人の立場からの発言で「今回の地公法改正は有期雇用を恒常的・基幹的に活用し、いつでも雇止めできる制度でありさらに拡大していく狙いをもっている」ことを浮き彫りにした。「まだ改定を知らない当該職員や市民・議員に知らせ、ひっくり返っている現状をもう一度ひっくり返して現状と政治を変えていこう」と結んだ。

今回の集会で早急に改善したい問題として報告したのは、臨時・非常勤の労災の差別的取り扱いだ。神奈川県・北九州市・石川県津幡町で公務災害事案がこの間立て続けに問題となったが、公務災害の申請が非正規本人も遺族からも申請できない制度であり正規職員との差別的取り扱いをなくす法改正の提起である。石川県の事案に光を当て今年の「貧困ジャーナリズム賞」を受賞した共同通信の國枝記者も会場から発言し「この問題を社会化していくことの必要性を強く感じた」と思いを語った。また「誇りをもって仕事をしている。命までも差別されるのは許せない」と同じ立場の非正規から発言があり共感を呼んだ。今後運動を広げ早期の法改正を求めて行きたい。

総括コメントは森岡孝二関西大学名誉教授から、差し迫っている労働時間の一括審議の危険性と真の働く者のための法改正を目指す重要性が指摘された。

5年目ともなると近畿2府4県からはもとより、北は北海道から南は鹿児島まで東京・神奈川・埼玉・名古屋・香川・広島・福岡など参加が広がった。北海学園大学川村正則教授の挨拶では、今年2回目となる札幌の「なくそう官製ワーキングプア集会」の準備を進めておりこの運動がさらに広がりネットワークを結ぶことを期待したい。メディアの問題意識も高く7社が参加しこれまでにない関心を寄せていただいた。

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