民主法律時報

「とりあえず延期!」「マイナンバーを使わない! 使わせない!」― マイナンバー制度を考える学習決起集会

弁護士 井 上 耕 史

2015年10月から各人の個人番号(マイナンバー)を記載した通知カードの交付が始まった。制度の概要とその弊害は先月号の辰巳創史弁護士の記事に譲るが、来年1月からの番号利用開始を前に、どう対応していいのか、不安や疑問を持つ人は多い。私にしても、出産内祝ギフトでネット利用した2社に相次いで個人情報を漏洩されてしまった。今のところ「投資にマンション買いませんか」と電話がかかってくる程度の被害だが。

10月20日、共通番号制反対連絡会が主催した学習決起集会は、まさに時宜を得た企画で、会場を埋める115名が参加した。講師の黒田充さん(大阪自治体問題研究所理事・自治体情報政策研究所代表)が「危険なマイナンバーの本質とは何か」と題して講演し、問題点を解明しつつ、「本番はこれから」であり、政府・財界の本当の狙いを踏まえた運動の重要性を指摘した。これを受けた意見交換は、大商連、地方議員、自治労連、救援会、SADL等々の活発な発言で盛り上がり、違憲訴訟弁護団長である大江洋一弁護士(民法協副会長)の挨拶で締めとなった。

この集会に参加して私が思ったことを3点述べたい。
第1に、国民がよく知らないまま実施をすべきではないこと。「とりあえず延期!」の声を広げたい。

第2に、個人番号の提供をしない、させないこと。事業者は従業員の番号を収集して税務署に申告する義務が課されるが、それで集めた番号を漏らせば民事上・刑事上の責任を問われかねない。他方、従業員が自己の番号を申告する義務はない。従業員が拒否すれば事業者としては番号を収集・申告しなくても良い。この点を踏まえ、事業者は従業員の意思に反して番号を集めないこと。他方、労働組合は、職場の労働者に使用者への番号提供が義務ではないことを知らせるとともに、使用者に対して番号提供を強制するなと交渉すべきではないだろうか。

第3に、個人番号の利用を広げないこと。政府は国民全員に個人番号を付けて「通知カード」を送付するが、これには「個人番号カード」の申請書がついてくる。顔写真と個人番号が書かれたカードを国民に持たせ、これを広く利用させて個人情報の収集を狙うものである。しかし、「個人番号カード」の取得は義務ではない。これを普及させないことが制度拡大の歯止めとなるから、「個人番号カード」の申請はしない方が良い。

マイナンバーにどう対峙するのか、多くの労働組合、民主団体で学習会を開いて考えることを呼びかけたい。

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